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税金逃れの仁義なき戦い「アムステルダムの最も小さい家」(オランダ)

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サライ.jp

文・写真/倉田直子(海外書き人クラブ/オランダ在住ライター) オランダの首都アムステルダムは、美しい建物が数多く立ち並ぶ街。ユネスコの世界遺産「シンゲル運河内の17世紀の環状運河地区」をはじめとする中世の街並みから、近代の建築運動アムステルダム派の建物など、建築物好きにはたまらない景色にそこかしこで出会える。 けれどその美しい街並みの背景には、先人たちが「あるもの」と闘ってきた涙ぐましい歴史が隠されている。その一端をご紹介したい。

17世紀の面影を残すアムステルダムの街並み

アムステルダムの街並みは、大航海時代の貿易のおかげで経済発展著しかった17世紀頃にベースが作られている。旧市街を中心として、建てられた当時に近い雰囲気のまま残されている。ひとつひとつの建物がひょろっと縦に長いことが特徴だ。多くの建物が密接しているのでひとかたまりの様に見えるかもしれないが、一軒一軒は横幅が狭く、縦(高さ)と奥にたっぷりスペースをとる「うなぎの寝床」スタイルになっている。

何故そんな奇妙なスタイルになったのかというと、それは当時の政府が「間口税」を導入したためだと言われている。東インド会社の交易によって富を得た豪商たちが、こぞって邸宅を建て始めたのを見計らい、建物の間口の幅に基づいて税金を課すようになったのだ。けれど豪商たちも、唯々諾々と重税を受け入れたわけではない。少しでも税金を安くするために、間口のみ不自然なほどに狭く、奥行きを長く設計していった。

英語で割り勘のことを「Go Dutch」(Dutch=「オランダの」「オランダ人」という意味の英単語)と表現することからも、オランダ人の財布のひもが固いことはよく知られている。そういった気質が既に17世紀頃から始まっていたとは驚きだ。 後に間口税は廃止になったが、昔ながらの景観保護のために「カナルハウス」と呼ばれるそういった運河沿いの邸宅は、そのままの姿で残されている。古くなった外壁を修繕する際も、壁の色などには自治体が制限を設けているという。

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