『元号男子』で令和になりきる大薮丘の意気込み
志島とひろのイラストを原作とする舞台『元号男子』。時代の移り変わりとともに生まれた“元号男子”へ臨むにあたって、令和役を演じる大薮丘に意気込みを語ってもらった。 イラストから派生し、昨年10月にはドラマCD化された本作。劇中では、大正・昭和・平成・令和を中心とする元号男子たちが、ひとつ屋根の下で生活する日常が描かれる。脚本・総合演出を川尻恵太が、演出を白鳥雄介が手がける。 元号男子のキャラクターには、海外文化を吸収した和洋折衷の装いが似合う大正、バブルを経験した俺様気質の昭和、学業の成績は悪いが自分の好きなゲームやアニメには詳しいゆとり世代の平成など、それぞれ時代の世相や流行が反映されている。令和は、誕生したばかりで好奇心旺盛な役どころで、演じる大薮いわく「感じたことを率直に発するので、好意はもちろん、時には失礼に値しそうなこともストレートに伝えてしまいそうな性格」──。聞けば大薮自身にも思い当たる点があるらしく「でもそれって愛情の裏返しなんですよ」と役と自身を重ねて苦笑する。 一方で、価値観の異なる昭和と平成の仲を取り持つ抜群のコミュニケーション力を発揮するのが“末っ子”令和、最大の長所といえるだろう。大薮自身も「誰にでも分け隔てなくフランクに接する」タイプらしく、初共演となる大正役の和合真一、昭和役の校條拳太朗、平成役の平賀勇成とも「自分から積極的に話しかけに行って、稽古場の雰囲気を明るくしたいですね」とムードメーカーを買って出る構えだ。 生まれて間もない令和を演じるには苦労もあるのでは、と話題を向けると「原作のうわべだけを真似するのではなく、令和くんが日々どんな気持ちで暮らしているか、ハートの部分を大切にしたい」と大薮。そのために「僕はまだ引き出しが少なくイメージしきれないこともあるので、キャラになりきる気持ちのつくり方を極めたい」として、『青春鉄道』『ひらがな男子』『はたらく細胞』などで各種擬人化を成立させてきた川尻演出のもと、成長する意欲を覗かせた。 個性豊かな元号男子たちのキャラクターをそれぞれがリアルに演じれば“あるある”が溢れ、大薮は「それぞれの時代をご存知の方にはきっと共感できるはず」と胸を張る。最後に「僕たちの掛け合いを通じて、観客の皆さんに元気とハッピーと笑顔をお裾分けできれば」と語り、取材を結んだ。 公演は、2021年3月4日(木)~14日(日)に東京・大手町三井ホールにて。チケットは2月10日(水)19時より抽選先行受付開始。2月20日(土)10時より一般発売。 取材・文:岡山朋代