【トランプの中東政策は“側近”次第?】気まぐれと武力行使嫌いはどう影響するか
誰もトランプ次期大統領がどのように振舞うか分からない。先月、彼はレバノンに平和をもたらすと発言したが、どうやるか言わなかった。 次期大統領はイスラエルに撤退を要求するのだろうか。さもなければ、ヒズボラを永久に殲滅しようとしてイスラエルの侵攻を支持するのだろうか。その答えは、誰が彼に助言するか次第だ。 22年、次期大統領の娘、ティファニーがマイケル・ボウロスと結婚した。ボウロスの父親は、裕福なレバノン系アメリカ人で、この父親はトランプ次期大統領に中東政策についてアドバイスして来た。彼がレバノンについて関心を持っているのはそのためだ。 今回の大統領選挙でのトランプ次期大統領の圧勝は、大統領就任式までの75日間にイランとイスラエルが紛争を激化させる可能性を否定し、また、その間、バイデン大統領がネタニヤフ首相と対決する事を可能にした。そして、たとえ、バイデン大統領がそうしてもトランプ次期大統領は気にしないだろう。 * * *
トランプの商品気質に辟易する産油国
前政権時に歴代米大統領の中でも極端に親イスラエル姿勢を示したトランプ次期米大統領の中東政策に関心が集まっているが、このエコノミスト誌の記事が、「それは誰が彼に中東政策を吹き込むかによる」としているのは正しいだろう。そして、トランプ次期大統領の気まぐれさと武力行使を嫌うという性格がどう影響するかだ。
ヴァンス次期副大統領が対イラン戦争に反対し、ペルシャ湾岸のアラブ産油国(GCC)に対してイランの脅威に対抗するための自助努力を求めているというのは興味深い。しかし、後者については、米国が期待するような米国製武器の購入に繋がらず、過去、トランプ大統領の気まぐれさと商人気質に辟易したGCCが他の方法を選ぶ可能性がある。
親イスラエルは継続か
一つは、多角化であり、既に中国やロシアに接近しているが、もう一つは、対イラン宥和である。例えば、11月10日、突然、サウジ軍の参謀総長がイランを訪問し、同日、両国首脳の間で電話会談も行われた。 トランプ次期大統領がパレスチナ独立国家を否定するハッカビー元アーカンソー州知事を次期イスラエル大使に指名したことは、トランプ次期大統領が引き続き親イスラエル政策を維持する可能性を示唆している。 また、中東政策をマロン派キリスト教徒と思われる人物が助言している模様だが、マロン派はシーア派とレバノンの覇権を巡って対立しており、ヒズボラにあまり良い話はないだろう。
岡崎研究所