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岡江久美子さん追悼 「天までとどけ」で夫婦を演じた「綿引勝彦」が語る思い出

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デイリー新潮

 平成の世になって間もなく、すでに核家族が主流の時代に一風変わったドラマが人気を集めた。13人の子どもを持つ大家族の日常を描くTBSの「天までとどけ」。母親役は去る4月、63歳で新型コロナに命を奪われた岡江久美子だった。当時の思い出を、父親役の綿引勝彦氏(74)らが語った。  ***

「最近でも、お会いすれば僕は岡江さんを“ママ”と呼び、彼女は僕を“お父さん”と呼んでいた。ママの死に、いまも言葉が浮かばないんです。たださびしく、ただ空しい気持ちが胸を塞ぐばかりで……」  TBS系の昼ドラシリーズ〈愛の劇場〉で「天までとどけ」がスタートしたのは平成3年3月。実在の新聞記者とその家族をモデルとする同名のノンフィクションが原作で、15人家族の大所帯という妙味と心温まるストーリーが反響を呼んだ。足かけ9年、パート8まで制作は続いたことから人気のほどがうかがえる。 「僕たち家族にとって、ママは太陽みたいな存在でした。子どもが13人もいれば一人くらい苦手とする子がいてもおかしくないのに、ママは役柄を超えて全員に分け隔てなく、本当に愛情を注いでいました。だからと言ってほめるばかりじゃなく、時には撮影現場にもかかわらず、厳しい言葉で叱りつけることもありました。でもそれが子どもたちにより強い、真の愛情を感じさせたんだと思います」  収録に際しては“夫婦の約束”を交わしていた。 「NGを出すと子どもたちに示しがつかないから、セリフだけはきちんと覚えてスタジオ入りしようと話し合っていたんです。僕は台本を手に四苦八苦。でもママは対照的に、収録の後はすぐに友だちと食事に出かけて行ったり。なのに、セリフはいつも完璧でした」

「私にも見せて」

 一方、四男の五郎役を演じた須藤公一氏(43)は、次のように振り返る。 「まだ幼い八男の十次郎に、お母さんが納豆ご飯を食べさせるシーンがありました。十次郎の口から納豆の糸が伸びると、お母さんはそれを自分の手で取り、そのまま十次郎の頭で拭いちゃった。もちろんアドリブで、本番中にそんなイタズラを平気でする。常に遊び心を忘れない人でした」  そんな茶目っ気は随所に現れていたそうで、 「いまならお叱りを受けそうですが、お父さんが衣裳部屋で幼稚園児たちを前に“パンツの中を見せちゃうぞぉ”とおどけ、彼らがキャッキャッと喜んでいたんです。それを見たお母さんが“ねえ、私に一回だけ見せて”とニヤリ。これにはお父さんも、素に戻って照れるばかりでした」  長男の正平役で、現在はマジシャンとして活動するたかお晃市氏(47)は、 「僕のマジックショーを見に来てくれたこともあります。開催予定なんですと伝えると“エーッ、行く行くーっ!”って、いつも女子高生みたいでした。わざわざお花も贈って下さったんですが、木札には“丸山家一同”とありました。あれは一家の苗字なんです」  いずれ番組スタッフや“親子”全員が集まって、撮影開始30周年を祝う家族会を開こうと話していた。  綿引氏が言う。 「子どもたちから“いつかみんなで集まってママを懐かしみたいね”という電話もありました。彼女のご冥福と、一日も早くそんな日が来ることを祈りたいです」  その想いよ、天まで――。 「週刊新潮」2020年8月13・20日号 掲載

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