彼女は痴漢をした男を捕まえ、裁判に発展した。そして、今も苦しみ続ける。
実刑判決が下ったが...
電車内での痴漢は、各都道府県の迷惑防止条例違反の痴漢事犯、または強制わいせつ事犯として、認知・検挙されている。 この事件はその後、刑事裁判に発展した。被告は、迷惑防止条例違反の罪に問われ、懲役1年6カ月の実刑判決が下った。 民事訴訟を起こすことはしなかった。慰謝料として金銭を得ようとは考えなかったからだ。 被告は実刑判決を受け、控訴したという。 「大変残念ですが、まだずるずると続いていきそうです。控訴しているので、どこかで会うのではと不安があります。早く終わってほしいです」 現在は、鉄道事業者が女性専用車を積極的に導入し、JR山手線や埼京線などでは車内に防犯カメラが設置されるなど、痴漢被害を未然に防ぐための対策が講じられている。 特に防犯カメラについては、証拠を残す点で優れ、冤罪を防ぐこともできる。 警察庁によると、2018年の迷惑防止条例違反のうち、電車内以外を含む痴漢行為の検挙件数は、男女合わせて2777件。電車内における強制わいせつの認知件数は266件だった。 前者は14年以降、減少しているものの、後者はほぼ横ばいだ。 この数字は、声をあげなかった人を含んでいないことを留意しなくてはいけない。 彼女が取材中に繰り返し話したのは、「(男と)またどこかで会ってしまったらどうしよう」との言葉だった。 たとえ、会うことはなくとも、会ったとして危害を加えられなかったとしても、1度の被害が、これからも彼女を精神的に苦しませる。