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賭け麻雀の黒川氏、税金問題から逃げられるか もうけが20万円以下でも住民税の申告義務

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税理士ドットコム

新型コロナウイルスの緊急事態宣言中、新聞記者らと賭けマージャンをしたとして、黒川弘務・東京高検検事長(当時)が辞職しました。国会では処分の甘さが取り上げられていますが、気になるのが賭けマージャンでもうけたら税金はどうなるのかという点です。現行の制度について、租税法の第一人者で弁護士資格も持つ三木義一氏に聞きました。(ライター・国分瑠衣子) ●違法所得でも所得税の対象になる 黒川氏の賭けマージャンをスクープした「週刊文春」の報道によると、黒川氏は5月1日、産経新聞社の記者の自宅で、朝日新聞社の元記者と賭けマージャンをしました。 その後の法務省の聞き取りでは、黒川氏が3年前から月1、2回の頻度で賭けマージャンを繰り返していたことが明らかになっています。今年5月に2回行った賭けマージャンではいずれも「点ピン」と呼ばれる1000点100円のレートで、参加者の間で1万円~2万円の現金をやり取りしていました。 報道によると、法務省の川原隆司刑事局長は賭けマージャンのレートについて「社会の実情から必ずしも高額とは言えない」と説明。賭けマージャンを繰り返していたのに、常習性についても「認められない」としました。 三木氏は「賭けマージャンは違法ですが、違法所得であっても所得税に含まれます。1965年(昭和40年)の税法改正で違法所得も所得として課税されることがはっきりしています」と解説します。 では黒川氏が賭けマージャンで得たお金は、どんな所得になるのでしょうか。所得には種類があり、自営業から生じる「事業所得」やサラリーマンの人が受け取る「給与所得」など10種類に分けられます。 三木氏は「たまたま誘われた賭けマージャンであれば、偶然性が高いので『一時所得』になるでしょう」と説明します。ここでいう偶然性の定義は「道を歩いていた時に段ボールに入った1000万円を見つけて、警察に届けると一定期間持ち主が見つからなければ、自分のお金になります。それが『偶然性』です」。一時所得は、最高50万円の税額控除があります。 ●黒川氏のもうけは「雑所得」が妥当 しかし、三木氏は「黒川氏の賭けマージャンの場合、仕事と関連性もあり偶発的な利得ではありません。この場合は『雑所得』になるのが妥当です」と指摘します。雑所得には公的年金とそれ以外があり、総収入額から必要経費を引いた差額が雑所得の金額です。 三木氏は「黒川氏の賭けマージャンは記者らからの接待でもあったようなので、必要経費がかかっているとは考えにくい」と話します。となると、賭けマージャンで得たお金はそのまま所得金額になると考えられます。 確定申告の義務についてはどうでしょう。黒川氏は東京高検検事長という役職の公務員だったので、給与所得者でした。ほとんどの会社員は会社が行う年末調整で、所得税の額が決まり納税も完了するので確定申告は必要ありません。 しかし、例外はあり年間の給与収入が2,000万円を超える人、給与と退職所得以外の所得金額が20万円を超える人は確定申告しなければなりません。 東京高検検事長と、その前の法務事務次官の年収は2,000万円以上あるため、そもそも確定申告をすること自体の義務があります。さらに、黒川氏が賭けマージャンによる所得がいくらあったのかはわかりませんが、年間で20万円以上の給与以外の所得があった場合も申告しなければいけません。 ●20万円を超えなくても住民税申告の義務はある ここで三木氏は「確定申告義務がある20万円を超えていなくても住民税の問題が出てきます」と新たな問題点を提起します。確定申告をしていない人で、前年に給与所得以外の所得がなかった人は、住民税申告の必要はありません。逆に言えば少しでも所得があれば、住民税の申告義務が生じます。 総務省市町村税課によると、住民税の申告は各自治体によって異なるものの、確定申告と同じ時期に申告しなければなりません。住民税の所得割は一律10%なので、10万円の所得なら1万円が課税されます。総務省の担当者は「申告しなければ、条例によって10万円以下の過料が発生します」と話します。 国税庁個人課税課は「仕組み上は、確定申告後に賭博罪に問われ賭物を没収された場合は、支払った税金を還付するため申告額の訂正を求める、更正の請求手続きはできます。しかし、いずれにしても税法上、違法、合法問わず所得の帰属があれば確定申告しなければなりません」としています。 これが現行制度の説明です。果たして黒川氏は確定申告や住民税の申告をしたのでしょうか。三木氏や税法の専門家らでつくる民間税制調査会はコロナ禍で起きている、税の問題点を分かりやすく解説した動画をYouTubeで配信しています。今回の賭けマージャンと税金の問題についても配信しています。

弁護士ドットコムニュース編集部

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