グアルディオラが不振脱却の特効薬を調合できずに苦しんでいる
「チェルシーでプレミアリーグとFAカップのダブルに輝いたとき、ジョゼ・モウリーニョには世話になった。すばらしい監督で、人としても尊敬できる。いまでも連絡を取り合っているよ。ジョゼップ・グアルディオラ? まぁ、彼とはぃろいろあったからね」
セスク・ファブレガス(現ASモナコ)のコメントが物議を醸している。グアルディオラからも多くを学んだはずだが、印象はよくないようだ。注文が細かすぎたのか、性格が合わないだけなのか。
さて、週末のプレミアリーグはモウリーニョとグアルディオラが相まみえる。そう、トッテナム対マンチェスター・シティ戦に注目だ。
これまで、両監督は丁々発止とやり合ってきた。モウリーニョがレアル・マドリー、グアルディオラがバルセロナを率いていた当時はスペイン全土を、いやいや世界中の視線を集めたものだ。モウリーニョはヒールに徹し、口でもバルセロナを牽制。冷静を装ってはいるが、言葉の端々に怒りを隠さないグアルディオラ。彼らの演出もあり、クラシコはいやがうえにも盛り上がった。
残念ながらトッテナム対シティ戦は、クラシコのような格ではない。憎悪に近いライバル意識が、両チームの間にはないからだ。とはいえ、モウリーニョはグアルディオラを、グアルディオラはモウリーニョを意識している。この感情が選手に伝播すれば、好勝負は十分に期待できる。
今シーズンのパフォーマンスを踏まえると、トッテナム有利といって差し支えない。ハリー・ケイン、ソン・フンミン、ガレス・ベイルを要する攻撃陣はリーグ屈指の破壊力を誇り、運動量豊富で、状況判断にもすぐれたピエール=エミル・ホイビュアの加入により、セカンドボールの回収もスムーズになった。18得点はリーグ2位、9失点はリーグ最少。攻守のバランスもいまのところ悪くなく、5勝2分1敗で2位につけている。
一方、シティは7試合消化時点でわずか10ゴール。プレスがかからず、カウンターは威力が薄れた。昨シーズンは27ゴール、一昨シーズンと3シーズン前は22ゴールもとっていた攻撃力が激減している。美しく、躍動的でもあった連動性はどこかに消え、ケビン・デブライネやラヒム・スターリングなど、独力で局面を打破できる選手への依存度が増すばかりだ。