企業の人手不足感、国内景気の持ち直しやGo To トラベルなどで緩やかに上昇
厚生労働省によると、新型コロナウイルスの影響による解雇やその見込みがある労働者数は7万1121人となり(2020年11月13日時点)、ペースは鈍化しているものの増加を続けている。採用や雇用の動向に対する懸念は残るが、企業の生産・出荷や個人消費の回復などで国内景気は低水準ながら徐々に持ち直し始めてきた。人手不足は緊急事態宣言の期間に大幅に緩和したものの、その動向が引き続き注目される。 そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。
正社員不足は34.0%、業種別では「教育サービス」「電気通信」の増加が目立つ
2020年10月の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」している企業は34.0%となった。5割を上回っていた前年同月から16.1ポイント減少し10月としては5年ぶりの3割台、2013年(33.4%)に近い水準まで低下した。「適正」とする割合は46.7%で同5.6ポイント増加し、半数近くの企業が人手は適正と感じている。一方、「過剰」とする割合は19.3%で同10.5ポイント増となった。 2020年1月以降を月別にみていくと、緊急事態宣言が発出され経済活動が停滞した4月に正社員・非正社員ともに大幅に減少した。そして同宣言が続いた5月を底に、6月以降は緩やかな増加傾向となっている。一方で、人手過剰の割合は徐々に減少している。企業からは、「人手不足だったが、新型コロナウイルスで影響を受けた業界から人手が流れ、心配が薄れてきている」(ガソリンスタンド)といった声がある一方で、「引き続き技術担当社員は不足気味」(給排水・衛生設備工事)などの意見もみられた。 「不足」している企業を業種別にみると、オンライン授業の需要が増加している「教育サービス」が62.5%(前年同月比8.0ポイント増)でトップとなった。また、同様にリモートワークなどで需要の拡大がみられる「電気通信」(60.0%、同23.6ポイント増)も高く、この2業種の増加が目立っている。次いで、災害復旧などの公共工事が堅調な「建設」、「農・林・水産」が続き、「家電・情報機器小売」も前年同月から増加し5割を超えている。