上場企業312社が新型コロナ対応で総額13兆7688億円を調達
ANAHDとトヨタが1兆円超え、新型コロナ関連 上場企業「資金調達状況」調査
2月9日までに新型コロナ対応で金融機関などから資金調達を公表した上場企業は312社に達し、調達総額は13兆7688億円に及ぶことがわかった。 1000億円以上の資金調達は34社だった。このうち、1兆円超はANAホールディングスとトヨタ自動車の2社だった。 業種別では製造業が最多の101社。次いで、サービス業75社、小売業63社など、個人消費関連の業種が目立ち、上位3業種で全体の約8割(76.6%)を占めた。 2021年1月に11都府県に新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言が再発令され、さらに1カ月間の延長が決定した。コロナ禍の影響は国内外の広範囲に及び、事業環境の不透明感が漂っている。 こうした状況下で、自社の運転資金の確保のほか、取引先の支援、ビジネスモデルや収益環境の変化への備えなど、各社の状況に応じて引き続き手元資金を厚くする動きが広がっている。 ◇航空、自動車、鉄道などで大型の資金調達を公表 「資金調達」を開示した上場企業は312社で、合計金額は13兆7688億円だった。前回調査時の2020年6月(171社、合計9兆6758億円)から約8カ月間で141社、調達金額は4兆930億円増加した。 多額の資金調達を開示した企業が全体を押し上げた格好だが、1社あたり平均調達額は452億9200万円で、312社の中央値は38億2000万円だった。 312社のうち、調達金額の最大はANAホールディングスの1兆2850億円。コロナ禍で海外、国内の航空路線の休減便で業績が悪化。金融機関からの借入金9350億円のほか、新たに3500億円のコミットメントライン契約を締結した。次いで、トヨタ自動車の1兆2500億円で、新型コロナウイルスの長期化リスクを見据えて借入契約を締結。上位2社が1兆円を超えた。 調達金額の上位は各業界の大手が並び、このうち、完成車メーカーではトヨタ自動車のほか、日産自動車(調達金額8950億円)、マツダ、本田技研工業、SUBARU、三菱自動車工業の大手6社が1000億円以上。航空大手では、ANAホールディングスのほか、日本航空が6000億円を調達。輸送人員の減少などが響く東日本旅客鉄道は5900億円、西日本旅客鉄道と九州旅客鉄道などJR系企業も1000億円以上の資金調達を公表した。コロナ禍で大きな痛手を受けた企業を中心に、積極的に資金調達を進めている。