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「検診がなくなった」「ママ友ができない」 募る妊婦の不安に支援

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産経新聞

 「立ち会い出産ができなくなった」「ママ友が作れない」。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で母親学級がなくなったり、妊婦健診の回数が減ったりしたことで、相談する相手もなくストレスや不安を抱える妊婦は多い。そこで、インターネットを利用した助産師による無料相談事業や産婦人科のオンライン診療(遠隔診療)で、妊婦を支えようとする動きが広がっている。(高橋義春、吉国在) 【写真】講義をする助産師の麻衣子さん  ■助産師がオンラインで講義  「上の子が抱っこをせがみます。大丈夫ですか」  京都市下京区の助産師、コプシュ・麻衣子さん(39)が自宅でのぞき込むパソコンの画面には、今夏に出産を控えた妊婦が質問する姿が映っていた。  「立って抱くと、おなかが張りやすくなるので、座って、もしくは寝た状態で抱っこしてあげてください。上のお子さんもママに甘えたいので気持ちを酌み取ってあげてくださいね」  こう優しく答えたコプシュさん。新型コロナの影響で、病院や区役所で開かれていた母親学級や両親学級が相次いで中止されたのを受け、4月、インターネットを使って参加できる無料の「パパママクラス(両親学級)」を始めた。妊娠中期までの妊婦には流産や早産を避けるための注意点などを講義。28週目から分(ぶん)娩(べん)を直前に控える人にはお産までの流れや呼吸法などを伝え、それぞれ講義の後に質疑応答の時間も設ける。  ■つながり持つことの重要性  新型コロナの感染拡大を受けて、妊婦は不安を募らせている。4月下旬、初産の臨月を迎えていた京都府亀岡市の主婦(23)は希望していた立ち会い出産ができなくなり「不安が大きい。お父さんとしての実感を持ってもらえる機会だと思っていたのに」と残念がった。  3人目の出産を夏に控えている同市内の小谷梢さんも本来、妊婦検診は妊娠24週に入って2週間に1回行われる予定だったのが、感染予防のために間隔が開いていることに不安を感じる。「第三子でも、おなかの張りや妊娠経過はそれぞれ違うので、どうしたら良いか聞きたいことはたくさんある」  出産準備のための買い物や、同時期に妊娠している人たちとの交流も制限されてしまっている妊婦たち。4月下旬に出産したばかりの京都市中京区の主婦(34)は「出産直後の家族の面会もできない。病院で他のママとも知り合えなかった。不安をはき出すところもない」と漏らした。オンラインで両親教室を開くコプシュさんは「一人で抱えている不安を少しでも和らげられたら」と話す。  大阪府箕面市で子育て支援を行っている合同会社「みのおママの学校」(大阪府箕面市)も、ビデオ会議サービス「Zoom」を利用して、助産師や看護師が妊婦や育児中の母親の相談に乗る無料サービス「じょさんしカフェ(R)オンライン」を行っている。複数人でも助産師のアドバイスを聞けることから、同じ悩みや不安を抱える妊婦や母親同士がつながりを持つきっかけにもなるという。授乳に関する相談や、陣痛への対処などについて助言を求められるという。  みのおママの学校代表、谷口陽子さん(45)は「ママたちが相談先に困っていることを感じます。少しでも悩みや不安に答えられる態勢を整えたい」と話し、今後、スタッフを増やして対応を続ける考えだ。  相談役の一人で、大阪府内の産婦人科に勤める助産師の手古(てこ)優花さん(33)は「妊娠を望む女性から『今妊娠しても診てもらえないのではないか』という声も聞きます。安心して妊娠、出産を迎えられる環境をつくりたい」と話す。  ■定期検診も新しい様式で  妊娠中の定期検診をオンライン診療(遠隔診療)で行う取り組みも始まっている。大阪府池田市の川口レディースクリニックは通院による妊婦の感染への不安を和らげるため、遠隔診療を4月22日から始めた。  スマートフォンやパソコンを利用したビデオ通話で映像と音声で妊婦とやりとりをする川口浩史院長(41)は「表情をみるだけでも直接の受診が必要かどうか判断材料になります」と話す。問診に不自由はないといい「体調など現在の状態について正確に説明することもできる」という。  ただ、オンライン検診を本格化させるためには、胎児の成長を知る超音波検査や、心音・心拍数の検査が自宅でも行えるようになるのが必須。今後のこういった検査機械の普及を望みながら、「今は遠隔治療を、対面診療とうまく組み合わせて、妊婦をサポートしていきたい」と話している。  妊婦の6割が情報不足に不安を感じている-。ベネッセコーポレーションの妊娠・出産・育児ブランド「たまひよ」が、妊婦や母親を対象に新型コロナウイルス感染拡大による生活への影響をインターネットを通じてアンケートした。  今年4月17日から20日にかけて全国の女性4411人を対象に調査を行った。うち3207人が妊婦で、出産への影響を複数回答で尋ねたところ、61・0%が両親学級の中止などによる情報不足をあげていた。入院中の面会ができなくなった(55・1%)、出産時に配偶者、パートナーの立ち合いができなくなった(51・8%)と続いた。  「たまごクラブ」「ひよこクラブ」統括ディレクターの米谷明子さんは「多くの妊婦さんが情報不足を不安に感じていることが分かった」と話す。政府の専門家会議が「新しい生活様式」を提言したことを受け「妊婦の生活にも、遠隔診療やオンライン相談など新習慣が生まれる中で、妊婦の情報不足を解決する必要がある」と指摘している。

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