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コロナ陰謀論はなぜ拡散されるのか? 認知科学の専門家が語る

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Rolling Stone Japan

陰謀論にまつわる人々の思考について著書『The Conspiracy Theory Handbook』を出したステファン・ルワンドウスキー氏は、英ブリストル大学で認知科学を研究している。 【画像】早すぎる死を遂げた、音楽史に残る偉人名鑑(写真32枚) 新型コロナウイルスのパンデミックに関連した陰謀論はあちこちで拡散されており、なかにはすっかり定着しているものもある。そこで今回は、ルワンドウスキー氏が陰謀論をどのように見分け、どう捉えているのか、また情報のるつぼの中から真実を見極めるにはどうすればいいか話を伺った。イ ー真の陰謀と陰謀論の違いは何でしょう? 真の陰謀というものは確かに存在します。それはジャーナリストや内部告発者、企業や政府のゴミの山から発覚したり、あるいは政府機関によって明るみになるのが一般的です。例えばフォルクスワーゲン社の排気ガス騒動は、一部のエンジニアが報告書に異常な点を見つけたという、ありきたりな方法で発覚しました。ごく普通の人々が、データに基づいてごく普通に観察して、「ちょっと待って、ここがちょっとおかしいぞ」と言うところから明るみになりました。同じことはイラン・コントラ事件にも言えます。あの事件が発覚したのはレバノンの新聞がきっかけでした。真の陰謀はしばしばメディアを通して暴かれます。ウォーターゲートを暴いたのも、反対を押し切ったジャーナリストでした。 一方陰謀論は、生粋のジャーナリストでも政府職員でもなく、組織の内部告発者でも取り締まり調査委員会でもない人々が、インターネットで長々と主張するものです。彼らは情報源を明さず、真実を握っていると自ら主張し、名乗り出た人々です。原則的には真実である可能性もあります。ですが、こうした人々の思考や話し方、伝達方法を見てみると、彼らの認識は、私が従来の認識と呼ぶものとは違っていることがわかります。 ー従来の考え方と、陰謀論的な考え方はどこが違うのでしょう? 科学者である私は明らかに懐疑的です。世間の言うことにまず疑問を呈します。自分のデータと他人のデータに疑いの目を向けます。陰謀論者はこの「疑念」が極端なのです。彼らの疑念はとどまることを知らない。公式な説明に関するものはなんでも疑ってかかる、底なし沼の疑念です。さらにそうした疑念には、陰謀に関するものはなんでも鵜呑みにするという極度の騙されやすさがついて回ります。公式筋がいうことはなんでも疑い、インターネットで無作為に投稿されるツィートは丸ごと鵜呑みにするという、アンバランスな状態です。そうしたアンバランスさが、陰謀論的な思考と標準的な認識を隔てています。 陰謀論的な思考は、証拠に対して拒否作用を示します。コロナを陰謀だと語る研究者の動画『Plandemic』では、証拠がないことが理論を裏付ける証拠だと曲解されていました。隠蔽があまりにも完璧なので、痕跡が何ひとつ見つからないのだと言うのです。これは理性的な思考とは正反対です。ふつうは仮説を立てたら、証拠を考えます。もし証拠がひとつもなかったら、諦めるか、または裏付ける証拠はないと言うでしょう。 また陰謀論者は、矛盾する複数の事柄を同時に信じる場合があります。例えば『Plandemic』でも、COID-19は武漢の実験室が発生源だと言いながら、我々はみなワクチンによって感染させられると、も主張しています。2つの説を同時に主張していますが、それではつじつまが合いません。 もっと言うなら、陰謀論者はこうした相反する考えを提示する際、自らを被害者と英雄の両方ととらえます。自分たちは真実をつきとめた英雄であり、同時に被害者でもあるとみなします。自分たちは悪の組織だとかディープステートだとか、そういうものから迫害されていると感じているのです。

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