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「障害有無書かされ自殺」/自治会班長選びめぐり自殺男性の遺族提訴

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産経新聞

 知的障害や精神障害のある大阪市平野区の男性=当時(36)=が自殺したのは、自治会の班長選びをめぐり、障害者であることや、自分にできない作業などを記す文書の作成を強要されたのが原因だとして、男性の両親が自治会と当時の自治会長ら2人に計2500万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したことが31日、分かった。  同日、第1回口頭弁論があり、被告側は請求棄却を求め、争う方針を示した。男性が文書を作成した事実は争わないとしながらも「強要はなかった」などと反論した。  訴状などによると、男性は平野区の市営住宅で障害年金などを受給しながら1人暮らしをしていた。昨年11月中旬、市営住宅の同じフロアの住民の中から、くじ引きで自治会の次期班長を選ぶと知り、自治会側に「精神の病気で班長ができない」と伝えたが、当時の班長から「特別扱いはできない」と告げられた。  男性は同月24日、自治会の会長、班長と地域の社会福祉協議会の関係者の計4人で面談。その際、障害があることや、金の計算ができないことや自転車に乗れることなどを列挙した文書の作成を約2時間にわたって強要され、班長決めの集まりを開く際には文書を他の住民に見せることを伝えられたという。男性は文書を作成した翌日の同月25日、自宅で自殺した。  原告側は、他人に知られたくない障害の有無や内容について文書を書かせたことはプライバシー権や人格権の侵害にあたると主張。自殺との因果関係も認められると訴えている。  一方、被告側は弁論で文書作成について、「班長の選出から外れることについて、(他の住民に)対面で説明してもらうよりも負担が少ないと考えた」などと主張した。  ■男性落胆「さらし者」  《しょうがいかあります》(原文ママ)。自殺した男性が作成を強要されたとする文書は、こんな一文から始まり、男性が可能なこと、苦手でできないことが約20項目にわたり「○×」の記号とともに手書きされている。  《○となりにかいらんをまわすことはできます》《○ひととあったらあたまをさげることはできます》《×おかねのけいさんはできません》《×ごみのぶんべつができません》  取材に応じた男性の兄(41)は、文書作成を強要されたというその日に会った男性の様子について「弟はとても落ち込んでいた。『根ほり葉ほり障害のことを聞かれた』『さらし者だ』と言っていた」と振り返る。  兄によると、男性はもともとおとなしい性格で、10年ほど前に統合失調症と診断された。簡単な身の回りの作業はできるが、近くに住む家族以外の人と接したり話したりすることを極端に苦手としていたという。「自己紹介もできず苦手な弟が、言いたくない『障害がある』ということを進んで書けるわけがない」と兄。周囲による無理強いがあった可能性を指摘する。  男性は自治会の班長決めに関し、居住自治体の大阪市平野区役所や担当のケースワーカーに相談していた。紹介を受けた地域の社会福祉協議会の関係者が昨年11月24日、当時の自治会会長らとの面談に同席し、翌日に男性が自殺したが、こうした経緯は社協から市側へほとんど報告されていなかった。  「経緯をうやむやにしないでほしい」と考える兄は同市に公益通報を行い、調査を求めている。

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