JR東日本が「Suica」データで作る未来の街 高輪の大規模開発で一大実験
地方誘客をめぐっては、JR東は今月18日、松竹と包括的業務提携を結んだ。松竹の持つ映画やアニメなどの舞台となった地域を「聖地」として観光ツアーを組み、旅行をうながす仕掛けを作る。松竹側でも新たに、JRと連携し、地方を舞台にした作品作りに取り組む。松竹は来年、高輪ゲートウェイシティのオフィスに専門部署を入居させる。
■「2軸」の成否
こうしたソフト面を充実させた独自性の強い開発の背景には、新型コロナウイルス禍での痛手がある。
いまだ乗客数が完全には戻らないなか、今年6月に発表した「中長期成長ビジネス戦略」では、鉄道と、不動産など非鉄道を対等とする「2軸」の経営を打ち出した。
JR東では、将来のリニア中央新幹線の開業や、羽田空港アクセス線の開業を見据え、品川を新たな日本の玄関口と位置づけた大規模な開発を進めている。高輪は中心的な役割を担っており、2軸の成否がかかっている。(織田淳嗣)