岡本綾子「経験を積んで、視野を広げていくことが大事」世界の“アヤコ”がセント・アンドリュースでの女子メジャーを振り返る
田中 綾子さんも若いころは貪欲だったんですか? 岡本 私も人の真似をして、それが自分のものになるまで練習しましたけど、その部分が足りないからやるんじゃなくて、「あの人ができるんだったら私もできる」という考えでやっていました。そのやり方はどうあれ、世界のトップと同じフィールドに立てるわけですから、人のプレーを見るというのは、自分の技術向上のためには必要だと思います。 田中 今シーズン、これで女子メジャー5戦が全て終わったわけですけど、なんと日本勢が2大会で頂点に立ちました。 岡本 本当にすごいことですね。私も西郷選手のように勝ちたいっていう気持ちでやっていましたけど取れなかった。ただ私の場合は、「なんで優勝できなかったか」ということは考えたことなかったです(笑)。 田中 その方がいいんですかね? 岡本 性格にもよると思いますけど。 田中 メジャーの中ではどの大会が一番難しいとお考えですか? 岡本 やはり「全英女子」ですかね。特にリンクスで開催されるときは本当に難しい。日本にないタイプのコースですからね。日本でも、海に近いところ河川敷に、フェアウェイにアンジレーションつけて、長さ100ヤード前後のグリーンのあるコースを作ってくれればいいんですけど。それと風ね。日本で、4日間、風が吹く中でプレーをすることはほとんどないですからね。毎日台風の中でプレーしているようなもの。それに「全英女子」と「全米女子オープン」は毎年、コースが変わるから難しい。あとの3つは毎年同じ所で開催されるから、これからも日本人選手の活躍が期待できると思いますよ。 田中 レベルの違いはあれ、多くの日本人選手がメジャー制覇を夢見ていると思います。何が手に入ったら、また何ができるようになったらメジャーで優勝争いができるという“虎の巻”みたいなものはあるのでしょうか。 岡本 いろんな国に行っていろんなコースでトーナメントを消化していくことが大事だと思います。日本でトーナメントが行われているコースは、コースコンディションが完璧で、練習場などの整備も行き届いているなど、贅沢なセッティングになっていますが、世界には様々なコースがありますからね。例えばドイツなんかでは、「どこに向かって打てばいいの?」というような野原のようなコースもありましたからね。そういうところで試合を経験するというのも選手の成長につながると思います。今後、ゴルフ留学をする選手が増えると思いますが、積極的に海外に飛び出して欲しいですね。 田中 今回リポートを務めてくれた有村智恵さんも、「海外では引き出しの多さが勝負を分ける」と言っていましたが、そういうことなんですね。 岡本 経験を積んで、視野を広げていくことが大事。そうすればもっと日本人選手の活躍が見られると思います。昨年あたりから、どの大会でもスコアボードに日の丸を置いていってくれるので、すごく頼もしい限りなんですが、来年はさらなる活躍を期待したいですね。