<ルポルタージュ>HIVと共に生まれる‐ウガンダのエイズ孤児たち‐
大型ショッピングモールも軒を連ねている首都カンパラのスラム街。その一角の6畳ほどの借家に暮らす13歳の少年レーガン。お父さんはエイズで亡くなり、今はお母さん、レーガン、そしてレーガンの従姉妹で両親をエイズで失った12歳のジョフィアが肩を寄せ合って暮らしていた。母親は感染を理由に中々定職に就けず、体調も安定しない。レーガンが外に買い物に行き、ジョフィアが家事をこなしながら、家の軒先で、タイヤで作ったサンダルを売っていた。レーガンには母子感染があり、肌は薬の副作用でぼろぼろになっていた。 「この子は肌のせいで感染していることがすぐに学校でばれてしまいました。冬休みに入っても誰一人、学校の友達は遊びに来てくれないんです。一緒に遊ぶだけなら感染することはない病気なのに。もうすぐ中学校への進学の時期です。弁護士になるのがこの子の夢ですが、今のままではそれを叶えてあげることはできないでしょう」。 そう語る母の目から、あとからあとから涙が溢れた。 「一番恐れなければならないのは、病気ではなく、希望を失うことなんだよ」。レーガンはうつむきながらそうつぶやく。彼らの過ごす日常は、闘いだった。 (文・写真 安田菜津紀/studio AFTERMODE)