サムスン、SK、LG…利益は誰のモノ?
世界的な新型コロナの流行が続くなかで、サムスン電子やSKハイニックスなど半導体やIT、家電、Eコマース関連企業の業績が好調だ。 こんな高収益企業にも悩みがある。 「利益の分配」を求める声がかつてないほど強まっているのだ。「利益共有制」の法案準備さえ進んでいる。 「どうしてサムスンより少ないのか?」 ■ ボーナス支給しても、不満拡大 2021年1月末、半導体大手のSKハイニックスは、2万8000人の従業員に対して「年俸の最大20%までのボーナスを支給する」方針を明らかにした。 SKハイニックスは、絶好調だった半導体メモリー事業に支えられて、2020年の営業利益が5兆126億ウォン(1円=11ウォン)となった。前年比84%増という規模だった。 業績に連動してボーナスを支給することになっており、2021年にも社会基準に基づいて支給する旨を従業員に説明したのだ。 新型コロナウイルス感染症の流行で、大きな打撃を受けているサービス業、観光業、飲食店などが多い中で恵まれた話だが、SKハイニックスの従業員は満足したわけはなかった。 「なんでこんなに少ないのか?」 こんな批判が社内で吹き荒れたのだ。どうしてか?
■ サムスン内部でも不満の声 サムスン電子に比べて「著しく少ない!」という不満からだった。 サムスン電子は、2020年に35兆9900億ウォンもの営業利益を上げた。前年比30%増だった。 サムスン電子の半導体部門は、「年俸の最大47%」の利益連動ボーナスを支給することになった。 SKハイニックスの従業員から見れば、「同じ半導体メーカーで、利益率や増益率では見劣りしないのに、どうしてこんなに少ないのか?」という思いなのだろうか。 では、そのサムスン電子の半導体部門の従業員からはどんな反応があったのか? これまた「どうしてこんなに低いのか?」という声が上がったのだ。 サムスン電子の給与水準はもちろん、産業界全体でも高い。福利厚生などを含めると夢の職場とも言われる。 業績が好調で最大で年間給与の47%ものボーナスが出るというのに、何が不満なのか? その理由は同じサムスン電子にあった。 というのも、サムスン電子の社内でスマートフォンを手掛ける事業部門やTVや家電を手掛ける部門のボーナスが「最大で年俸の50%」で半導体部門より多かったからだ。 サムスン電子の最大の収益事業は半導体だ。半導体部門の営業利益は18兆8100億ウォンで、スマホなどを手掛けるITモバイル部門の11兆4700億ウォン、テレビや家電を手掛ける部門の3兆5600億ウォンよりかなり多かった。 会社側は、「利益連動制ボーナスの算定基準は、目標に対する達成度で、必ずしも利益の金額が多い部門だからボーナスの年俸比率が高くなるわけではない」と説明する。 だが、「稼ぎ頭」の半導体部門の従業員には釈然としない思いが残ったままだ。