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「プロの凄技」が見られる空港は? 奥深き「タキシング」の世界 ANAパイロットに聞く

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乗りものニュース

スラストレバーを1mm単位で調整する「タキシング」

 出発した飛行機は駐機場からトーイングカーで押してもらったあと、自分で誘導路を走って滑走路に向かうのが一般的です。 空から見たひとめで見る国内のユニーク「誘導路」たち  この「タキシング」は、実は離着陸にも匹敵する高いテクニックが求められる操作ともいわれます。パイロットは、地上から離れたあとはオートパイロット(自動操縦)によるアシストも可能ですが、タキシングの場合は言ってしまえばすべて「手動」操縦です。  ANA(全日空)のパイロットによると、エンジン出力を操るスラストレバーのバランスを1mm単位で調整することもあるほか、風の影響や機体の重量バランスから操舵操作をしないとまっすぐ進まないケースもあるそうです。  そのような中、管制官から指示されたルートを通って滑走路まで向かわなければならず、時には一度に3つから4つの指示が来ることも。パイロットにはこれらを正確に記憶し、2人で都度確認しながら遵守する能力も求められます。  では最も「プロの技」必要とされる空港はどこなのでしょうか。先述のANAのパイロットによると、タキシングの難しさを決める要素は、たとえば誘導路の「幅や形状」「勾配」「構成の複雑さ」といったものがあるそうです。

転回も勾配路の進行もパイロットの技術が詰まっていた!

 国内空港の場合、稚内、庄内、鳥取、佐賀などは滑走路両端部分につながる「取付誘導路」がありません。そのため離陸前や着陸後に、滑走路端の幅60mから80mとやや広くなったエリア「ターニングパッド」で180度旋回をして向きを変え、来た道を戻るように駐機場に向かいます。  ANAのパイロットによると、このとき滑走路幅の中で安全にしっかり旋回しつつ、かつ、滑走路の水はけを良くするための溝「グルービング」を傷付けないように角度に注意しながら操作する必要性があるそうで、こういったところも「プロの技のひとつ」だそうです。  ところが地方空港にはターニングパッドがない空港も。こういった空港では、たとえば滑走路の幅45mでの旋回対応が求められます。コックピットから前脚や主脚の位置を直接目視することはできないなか、全長30mを超えるエアバスA320型機やボーイング737型機などでこれらの空港を発着するときは特に、前脚の位置を想定し、滑走路から外れない範囲ギリギリまで引き付けて旋回する必要があるそう。その感覚は訓練で身につけるそうです。  また誘導路や滑走路には勾配が付いていることもあり、これも注意すべきポイントとのこと。 「上り勾配は経験や感覚に基づいて、エンジンパワーの調整に一層気を払わなければいけません。下り勾配ではブレーキを踏む必要がありますが、その時タイヤやブレーキの温度上昇にも細心の注意を払います。ブレーキの温度が高くなってしまうと、ブレーキ性能の低下につながるので、万一の緊急停止の事を考えて、その温度が適正値に下がるまで離陸を見合わせる事になります」(ANAのパイロット)。  なお、勾配が比較的大きく、取付誘導路もターニングパッドもない空港の代表例としては、八丈島空港(東京都八丈町)が挙がります。

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