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太り体質な人でも便を移植すると痩せる!?腸内細菌と人間の面白い関係性とは

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近年、腸内細菌のさまざまな働きが明らかとなり、病気の治療や予防に加え、アンチエイジングにも効果のあることがわかってきました。腸内細菌のパワーについて、順天堂大学医学部大学院医学研究科教授・堀江重郎氏が解説します。

腸内に痩せ菌!? 難病治癒や体質改善に画期的な方法-便移植

みなさん、こんにちは。順天堂大学の堀江です。今日は、腸の中の細菌のお話をしたいと思います。通常、大腸の中には非常に多くの数の細菌がいるといわれています。 この体の中の細菌は人間とともに生きており、人間が摂取した食べ物からエネルギーを得ると同時に、人間に対してもプラスになるような働きをしています。 大腸にある細菌は、実にいろいろな働きをしています。それがわかる、面白い研究があります。自然に太ってしまうマウスの腸内細菌を一回全部、抗生物質で殺します。そして、正常なマウスの便を移植してみました。そうすると、驚いたことに生まれつき太る運命にあるマウスが、正常な体重になってしまったのです。 要するに太りやすい、痩せやすいというのは、腸の中にいる細菌の種類によってかなり異なってくることがわかってきました。 それだけではなく、花粉症、あるいは自己免疫疾患、アレルギーといった問題にも腸内細菌は関わってくるといわれています。例えば、難病に潰瘍性大腸炎という病気があります。この潰瘍性大腸炎になっている方は、大腸に炎症がずっと続いているわけです。この方たちの中にいる細菌を一回、抗生物質で殺して、そして他の人の便を持ってくると半分ぐらい治るという画期的なことがわかってきています。すべての人が治るわけではないのですが、便の種類を変えるだけで変化することがわかってきました。

アンチエイジングでも大注目の腸内細菌とポリアミン

アンチエイジングを抗加齢といいますが、加齢に伴う変化をなんとか予防できないかということを研究する学会「抗加齢学会」があり、今、日本で8000人ほどこの学会に入っています。2016年の6月に抗加齢学会の全国学術大会で最も注目を集めた話題が、腸内細菌でした。 動物による実験ですが、認知症が起こるような条件の動物モデルに、ある種の乳酸菌プラス、アルギニンというアミノ酸の一種で、基本的には肉類やナッツ類に入っているものがあるのですが、それを合わせて摂取させると、腸の中で乳酸菌が働いて認知症が改善するということがわかってきました。 なぜ認知症が改善してくるのかという問いに対する一つの鍵になるのが、ポリアミンという物質です。ポリアミンは、アンチエイジングに強力に働くということで、最近注目されているものです。もともとは、母親が子どもを産んだとき、最初に出てくるおっぱいの中に非常に多く含まれている成分で、また、男性であれば精液の中に非常に多い成分の一種です。 この成分は、若いときに比べて加齢に伴い減りますが、ポリアミンは主に腸の中で、腸内細菌のおかげで作られます。ポリアミンが減ると、脳の働きや臓器の働き、あるいはアレルギー反応が出るなど、いろいろなものが損なわれてくることがわかっています。 ちなみに、その他、ポリアミンのアンチエイジング効果としては、動脈硬化を防ぐ、脂肪がつきにくい、免疫力を高める、そして、記憶力を保つといったことがあります。まさに、これは加齢によって失われてくる機能です。ですから、ポリアミンを保っていくということが、体の健康、アンチエイジングに非常に重要だということになります。 ポリアミンという物質そのものを摂取することは、独特の匂いや吸収などいろいろな問題があって、なかなか一般的ではありません。このポリアミンがたくさん含まれている物質として、一つ注目したいものに納豆があります。乳酸菌とアルギニンを含む食品、これが腸の中でポリアミンを作るのですが、納豆は納豆になる過程において、ポリアミンをたくさん含んでいるといわれています。 もし、ポリアミンをできるだけ多くとりたいということであれば、ひきわり納豆ではなく非常に粒の大きい納豆を冷蔵庫から出してしばらく置き、常温になった後に50回くらいかき混ぜるといいです。空気と触れさせることによって菌が繁殖します。 同時に例えば卵のようなタンパク質を摂ると、腸の中でよりポリアミンをつくりやすいということが言われています。

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