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がんの受診、検診控えで重症患者増加を懸念―がん治療最前線から見える今と近未来【#コロナとどう暮らす】

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Medical Note

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4~6月を中心に医療機関の受診控えが起こりました。がん患者も例外ではありません。また、検診センターの休止も相次ぎました。しかし、がんを放置すれば今後、より悪化した状態で見つかるがんが増える恐れがあります。日本のがん治療の現場は今どうなっているのか、一線の医師は現状をどう見ているのか、がん研有明病院の佐野武院長に聞きました。

◇“いい治療”ができなくなることも

新型コロナの影響で、がんがより悪くなってから見つかる残念な例が、増えつつあります。 例えば、ある程度進んだ大腸がんを手術で切除し、もしかすると肝臓に再発するかもしれない、という患者さんの場合、3カ月ごとに超音波やCT検査をしています。再発すると、大きさや腫瘍の数によって手術ができる場合とできない場合があります。本来ならば3月にフォローアップのCT検査をする予定だったのに、コロナが怖いからとキャンセル。それから4、5カ月遅れで「もう大丈夫か」と検査をしたら、再発した腫瘍が結構大きくなっているうえに場所が悪く、そのままでは手術でとれないので、抗がん剤で治療をしましょうとなってしまいます。これが、3月だったらもっと簡単に手術で摘出できた可能性もあります。 また、がんが治るにしても、“いい治療”で治るはずだったものが、より“大きい治療”が必要になる可能性もあります。 胃がんは早期であれば開腹ではなく内視鏡手術でがんを摘出して、胃がそっくり残せることも少なくありません。しかし、がんが進行すると開腹手術で胃を部分切除して胃が小さくなってしまう、さらに進むと手術に加えて抗がん剤治療も必要になるかもしれません。このように、同じ胃がんでも、“いい治療”は体への負担も少なく、治療後も機能を保つことができ、再発リスクを低減させられる可能性があります。そのためには、早く見つけることが大事なのです。それが、コロナによって発見が遅れることで、治療に負荷のかかる患者さんが増えてしまいます。 これは、“治るがん”だけの話ではありません。当院の内科医によると、同じステージ4のがんでも、手の施しようがないくらい進んでから来院する患者さんが増えています。なぜここまで放っておいたのかと聞くと「コロナが怖かったので病院に来られなかった」と言うのだそうです。内科の医師たちは、せっかくいい武器(抗がん剤)を持っているのに、一切使えず悔しいと嘆いています。 がんのステージが進むほどに、止まっていた時間のインパクトはより大きくなります。

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