「あの人のように仕事がデキる人になりたい」という思考は危険! 会社内に“憧れの存在”を作ることの落とし穴
誰かと自分を比べてしまっていませんか?
SNSの発展により、私たちはいつでもどこでも誰かの情報に触れることができるようになりました。しかし、その一方で、「他人と比べてしまう」「自分なんて…」とネガティブな感情を抱く人も少なくありません。 SNSのやりすぎが「うつ病」につながるワケ。心理カウンセラーが警告する、無意識のうちに心をすり減らしている習慣 そこで今回は、2万人以上のカウンセリングを行ってきた公認心理師の大野萌子さんの著書『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)から一部抜粋して、「比較」の負のループから抜け出す方法をご紹介。 ついつい人と自分を比べてしまい、自己肯定感が低いと感じている方、SNS疲れを感じている方は是非とも参考にしてみてください。
人と比べてしまう
【シ-ン1】 SNSを見ると、仕事で活躍している人をたくさん見かける。そういった人の投稿を見ることでモチベーションアップにつながる一方、「自分は社会で必要とされる存在にはなれないのでは」と不安になる。
「比較」はトラブルの要因になりやすい
比較・否定・非難・批判の「4H」のうち、このシーンは「比較」に当てはまります。SNSの投稿を見て誰かと比較をするのは、ネガティブ感情の要因になりやすい行為の最たるものです。 SNSは楽しく便利な反面、見なくてもいいものをわざわざ目にしてしまうという一面もあります。見なくてもいい情報に触れてしまい、気分を悪くしたり、落ち込んだりするのは、人生の時間を無駄にしているとも言えます。 まずは、それ自体が「もったいない行為」ということに気づきましょう。
ロールモデルを作らないことが、心の安定につながる
よく「社内にロールモデルとなる先輩がいない」と相談を受けることがあります。それに対し、私は「ロールモデルは必ずしも必要ない」と答えています。 なぜなら、その比較こそが、不安な感情を生み出すからです。 ・「〇〇さんのような結果を出そう」 ・「〇〇さんのような仕事ぶりを目指そう」 こうした目標は一見大事に思えますが、必ずしもそうとは言えません。当然ですが、その人とあなたは別の人だからです。 また、ロールモデルとなる人の能力や特性もそうですが、刻々と変わる時代背景も大きく影響した上で、その人の結果につながっています。 うまくいかなかったときに「自分はダメだ」という感情が生まれ、ネガティブに傾きやすくなるので注意しましょう。 SNSの投稿が、「モチベーションアップにつながる面がある」ということは、知らない人をロールモデルにし、目標の1つとして捉えているということでもあります。 頑張る勇気をもらえる程度ならよいのですが、行動などを逐一、チェックするなどのめりこまないことが大切です。SNSの投稿はすべてが真実とも限りませんし、まったく同じようにはできないからです。 ですから、「この人みたいになりたい」という思いは強く持ちすぎず、あくまでも参考程度にしましょう。SNSの中の人を、自分との比較対象にしないだけでも、簡単にネガティブな感情が抑えられます。 次回は、成功者が投稿する「20代でやっておくべきこと」「役に立たない管理職の特徴」といった内容を見て、これまでやってきたことは意味がなかったのではないかと感じてしまう……そんなケースをご紹介します。
〈著者プロフィール〉大野萌子(おおの・もえこ)
公認心理師/2級キャリアコンサルティング技能士/産業カウンセラー 一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事、企業内カウンセラーをはじめとす る相談業務において2万人以上のカウンセリングを担当。また長年の現場経験を生かし、 人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント教育を得意とする。官 公庁・企業・大学などで講演・研修を6万人以上に実施。著書にシリーズ51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑(サンマーク出版)』ほか、『世界一受けたい授業』などメディア出演多数。
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