おいしく、おしゃれに 進化する防災食 増える災害、食料備蓄に関心も
大切な人への贈り物に
地震や台風、集中豪雨といった災害が増える中、家庭やオフィスで食品の備蓄に関心が高まっている。防災食をギフトとして贈るサービスや、デザイン性の向上と平時でも食べたくなるようなメニューの開発で、おしゃれにおいしく進化させた商品が登場している。 【写真で見る】普段使いもしやすい防災食 防災サービスの企画・販売をするKOKUA(東京都渋谷区)は、防災カタログギフト「LIFEGIFT」を展開する。ギフトとして贈ることで、防災について前向きに捉えてほしいと2020年12月から販売する。 防災グッズを網羅したものと、防災食に特化したものの2通りで、どちらも14商品を掲載する。結婚・出産祝いなど家族の安全を意識する節目の贈り物に選ばれる他、近年は企業の販促や福利厚生、周年行事でも取り入れられているという。 防災食では普段から食べられるものとして、国産食材を使った3年保存の缶詰ハンバーグや、瓶詰ドライフルーツが人気だ。 カタログには「あなたの無事がいちばん大事」と印字してあり、同社の泉勇作代表は「贈ることで相手を大切に思っていると伝えられる」と話す。
食べ慣れた味116点展開
建築金物の専門商社、杉田エース(東京都墨田区)が展開する長期保存食シリーズ「IZAMESHI」は、“食べない備蓄食から、おいしく食べる長期保存食へ”をコンセプトに家庭やオフィス向け、ギフトとしても提案。パッケージなどをおしゃれなデザインにして、普段の生活になじむ工夫をする。 同商品は、ごはんなどの主食の他、おかずやスイーツも取りそろえた豊富な種類が魅力で、単品やセットなど計116点を展開。豚汁や煮込みハンバーグなど普段から食べ慣れている味の商品などが人気だ。同社が運営するレストラン「IZAMESHI Dish」(中央区)では防災食を食べることが可能で、通常メニューと合わせて一品から試せる。気に入った商品は店頭で購入できる。 同社は「災害時のための備蓄だけではなく、日常生活でも活用できる」と提案する。 食品メーカーや栄養士、防災の専門家らでつくる日本災害食学会の守茂昭副会長は「災害時に食事は精神的なエネルギーにもなる。バリエーションのある食の備蓄がいざという時の支えになる」と指摘。生活になじむようなデザインやギフトは手に取るハードルを下げられ、「防災食を食べずに捨てるのはもったいないと思わせることも大事だ」と話す。