校内情事にリスカ……タブー描く『ここ倫』で光る吉柳咲良の存在感
ミュージカル『ピーターパン』といえばホリプロが手がける舞台の代表格。主演のピーターパンを務める役者たちは、初代の榊原郁恵をはじめ、高畑充希など、歴代ホリプロの看板役者に成長していく女優たちばかりだ。その中でも、芸能界の登竜門であり、スターばかりを輩出しているオーディションの「ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを取り、『ピーターパン』の主役を務めているのは榊原郁恵と吉柳咲良だけだ。 【画像】これでまだ16歳なんて! 吉柳咲良の存在感にドキッ! そんな将来の期待を一身に背負った吉柳が現在出演しているのが、よるドラ『ここは今から倫理です。』(NHK /毎土/夜11:30~)だ。20代を中心に人気を誇る雨瀬シオリ原作のコミックスを映像化した本作。「倫理」をテーマに高校生たちの生々しい悩みにスパッと答えるのではなく、時には教師も生徒も答えが出ないまま物語は進んでいく。 そこで吉柳が演じるのは、クラスでは問題のない平均的な明るい子に見えるものの、実は母親との関係に悩みリストカットがやめられない少女・高崎由梨だ。 「由梨を演じるのは、難しい時もありました。複雑な事情や、自分の中で処理しきれない感情を持て余して体を傷つけてしまう。向き合うのは苦しかったですが、正解は1つじゃないと演じながら思えるようになりました」 倫理の教師・高柳(山田裕貴)は、生徒たちが抱える数々の問題に言葉をかけ、彼らを少しずつ変えてきた。しかし第5話は、愛着障害をもつ都幾川と自傷行為をやめられない由梨、生徒2人の“心と体”の問題のため、高柳もなかなか介入できない、ドラマの中でも特に難しいテーマとなった。そんな難しいストーリーに挑戦しているが、実は吉柳、これが同クール放送の『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』(関西テレビ・フジテレビ系/毎火/夜9:00)に続き映像作品3作目だ。 「最初の映画『初恋ロスタイム』の時は中学生で、とにかく映像に写る自分を見るのが恥ずかしかったのですが、今はもうそんなこといっていられません。現場で演じた後は、モニターを見て反省と勉強の日々です」 初・映像出演の2019年、まだ中学生だった彼女はとにかく可愛い妹のような存在だった。しかし2年を経た2021年の今、目の前にいる吉柳はすっかり女優然としたたたずまいで演じる楽しさを話してくれる。 「舞台で鍛えられた度胸が、映像にも生かされているなって思います。生ものの舞台で、観客のみなさんと共演者のみなさんとライブで舞台を作り上げていくことの面白さを学ばせてもらったからこそ、ドラマの現場でも物怖じせずに由梨を演じられているような気がします」 とはいいながらも、同じ今クールで現在放送中の藤原竜也主演ドラマ『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』ではピリッとした緊張感を味わっているようだ。 「やっぱり目の前で藤原(竜也)さんが演じている姿を見ると、背筋がピンとしますね(笑)。圧倒されるというか、迫力があります。でも、私がどう演じていいか悩んでいる時に“感じたままに好きに演じていいよ”と声をかけてくださって……その言葉で気持ちも吹っ切れました」 2年なんて、大人にとってはあっという間に過ぎてしまう、いつもの日常の延長だ。でも、10代の吉柳にとっては伸びしろしかなかった時間だったのだろう。コロナの期間も落ち込むどころか、次の稼働までの準備期間と考え、自分磨きを徹底したとか。内側から弾けそうなほど自信に満ちているように見える。 無敵の10代・吉柳咲良がどんな作品でも輝いて見えるのも納得だ。 吉柳咲良(きりゅう・さくら) 2004年4月22日生まれ、栃木県出身。 『第41回 ホリプロタレントスカウトキャラバンPURE GIRL 2016』でグランプリを受賞。2017年、ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』で10代目となる主役・ピーターパンに抜擢され、女優デビュー。2021年夏公演も続投が決定。2019年、アニメーション映画『天気の子』ではヒロインの弟・天野凪役で声優に挑戦し、映画『初恋ロスタイム』ではヒロインを演じた。2020年には、「デスノート THE MUSICAL」でヒロイン・弥海砂役を務めた。 撮影:富田恭透 取材・文:知野美紀子 企画・構成:SUPER MIX
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