バイリンガルシンガーRISA KUMONが語る、音楽でエナジーを届けたい強い理由
自分をもっと尊重してオリジナルな考えを持って個性を外に出したいという気持ちがあった
―1曲目「Free」には〈I just got to be me〉(ただ自分でいたいだけ)というフレーズがありますが、RISAさんご自身の気持ちと重なる部分もあるのではないですか。 それはすごくありますね。やっぱり私の育った環境というか、「みんなと一緒」っていうのは難しかったし、自分なりに「こうしたらもっと生きやすくなるな」っていうのがあったので。自分をもっと尊重してオリジナルな考えを持って個性を外に出したいという気持ちがありました。それと、コロナのときに作ったアルバムなので、考えや思考を自由に持ちたい、自由を感じてもらいたいという意識もあります。 ―オリジナルよりもすごく太いベースラインが印象的ですが、アルバムの曲はすべて生演奏なんですか? 基本的に生演奏です。曲によってメンバーがバラバラで、最初の3曲は東京のメンバーでやらせてもらったんですけど、「Free」も含めてこの3曲のベースは以前ライブでご一緒したことのある日野JINO賢二さんに参加して頂きました。今回はそれぞれの曲に合わせて、自分たち好みのアーティストやエンジニアを探していろんな国のアーティストさんに声をかけて作っていきました。なので、1曲1曲がグローバルなキャストの個性が混ざり合った構成になってるんです。例えば「With Or Without You」はピアノ、ドラム、ベースはアメリカ出身のメンバー、パーカッションがブラジルで、ストリングスはイスラエルからとか、いろんな国のアーティストのテイストが混ざっています。 ―一方で「Hana」はアカペラで歌っています。 私の中で「Hana」は沖縄の影響を大きく受けたスピリチュアルソングで、作者の喜納昌吉さんから「あなたの歌からは波動が出ている。波動拳を極めなさい」と教えてもらってから、音楽や歌うことに対して波動を意識するようになり、この曲は私自身から出るエネルギーでサウンドを作りたいなと思ったんです。自然の森の中で川が流れていてそこにいろんな生物が存在していて、エナジーがいっぱい発生しているイメージがあって、そこで歌っている雰囲気で作りました。 ―「Free」のMVも、スピリチュアルな映像になっていますよね。 自分にとって何が自由と思えるかなと考えたときに、自分が何かを創造できる環境と生命との繋がり、あとは自由にどこでも好きなところへ行けるっていうイメージを織り交ぜて作りました。英語の曲も多いので曲だけ聴くと、どこの人?という印象を持たれることが多いので、日本人のアーティストとして自分のアイデンティティを出したいのと、日本の美しさを紹介したい気持ちもあって、富士山をはじめ日本のシンボルをたくさん入れて私の世界を表現しています。 ―ビル・ウィザーズのカバー「Ain’t No Sunshine」はドイツのベルリンで撮影されたMVが作られていますが、この曲を選んだ理由を教えてもらえますか。 すごく好きな曲でもあるし、「Ain’t No Sunshine」には “暗闇の中に差す光” みたいな意味を感じるんです。ちょうどそのときに私が白内障でかなり弱視になっていて、光を避けるために暗がりにいて常に遮光サングラスをかけてたり、気持ち的にもちょっとダークだったというのもあってすごくマッチしたのかなって思います。それとこのMVの撮影時にはほとんど見えていなくて眩しい濃い霧の中にいるような視界でした。この時のベルリンも時期的にもロックダウンが明けるぐらいの暗い時期から光を求めてみんな外に出てくるみたいなときだったんです。ベルリンっていろんな歴史があって、闇もあるけどニューヨークみたいに新しいカルチャーもたくさんあって、光を感じる部分もあったり逆にまだ暗さを感じるところもあったりするんです。そんな光と闇が共鳴するバランスを出せたらなと思って、ダークの中の美しさをテーマにしたMVを作りました。 ―最近公開された「Nothing Can Change This Love」のMVではミステリアスな始まりから浮遊と新たな世界観が表現されていますね。 このMVはFreeの制作チームで作り上げました。実は私たちのイメージの中で、「Free」→「Ain’t No Sunshine」→「Nothing Can Change This Love」はストーリー展開が繋がっている想定なんです。今回のコンセプトは、「変わらぬ愛」どんな状況であっても決して変わることのない愛と歌っている曲なので恋愛の愛だけではなく、私たちが共存しているこの惑星「地球」との繋がりも視点に入れた愛を時代観のないビジョンで表現しました。私たちが空気・水・エネルギーで繋がっているこの地球と向き合った時になくてはならない存在。恋愛のようにいい部分も、悪い部分も全部含めた愛。未来、別の惑星に移住したとしても私たち生命を繋ぐ故郷への愛は何があっても変わらないと思うんです。それぞれの視点からこのビジョンを受け取ってもらえたら嬉しいです。