ガザの子どもたち、紛争で「最も脆弱」な立場に ユニセフ広報官インタビュー
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【10月8日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)が昨年10月にイスラエルを奇襲してから1年がたったが、ガザでは240万人が今なお人道的悲劇に直面している。国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)で広報を担当するジョナサン・クリックス(Jonathan Crickx)氏はAFPとのインタビューで、中でも最も脆弱(ぜいじゃく)な立場に置かれているのは子どもたちだと訴えた。 1週間のガザ訪問から戻ったクリックス氏は、紛争が始まって以来、ガザの子どもたちは「普通の子どもの生活を許されていない。教育も、遊びも、喜びもない」「子どもたちは、とても悲しい顔をしている」と語る。 戦闘で荒廃したガザで見たほとんどの子どもたちは、もはや行くべき学校の授業がなく、家族を手伝っていた。「たくさんの子どもたちが、プラスチック製の汚れた黄色い携行缶を運んでいる。25リットルの携行容器だ」 「壊れた車いすに携行缶を乗せ、水を運ぼうとしている子どもたちも見た。水の入手は、ガザ地区の大きな問題の一つだ」 5、6歳の子どもたちが家族のために食料を探す姿を見るのは胸が痛むと話すクリックス氏。子どもたちは「巨大なごみの山の中を歩き、ある物は何でも手に入れようとしている」とし、「こうした子どもたちは暴力、爆撃など、不安定な状況にさらされている」と指摘した。 ■「学校に行きたい」 クリックス氏が鮮明に覚えているのは、ガザ南部の避難民キャンプに家族と身を寄せていた10歳の少年、アフマド君との会話だ。 クリックス氏は、少年のおじが悲惨な死を遂げたとしながら、「彼は10歳の子どもが口にすべきではないことを語っていた。(おじの)体がばらばらになったことや頭部が遠くに飛ばされたことなど。非常に強烈で、10歳の子どもからこれを聞くのは本当につらい」と説明した。 また、少なくとも片方の親を失っている子どもが多いとし、正確な数字は不明だが「そのような子どもに会う確率は非常に高い」と付け加えた。 ユニセフの推計によると、親と離れ離れになった子ども、あるいは親がいない子どもは1万9000人に上る。 ■「病気のレシピ」 ガザ全域で機能している学校は一校もなく、全校舎の85%が戦闘で破壊されたという。 クリックス氏は「この1年で、学校にまともに通えた学齢期の子どもなどいない」と話し、「学校に行きたい、友達と遊びたい、先生に会いたいと話す子どもたちの姿が本当に印象に残った。教育や学びは希望を与えるものだ」と続けた。 他方で、国連機関や援助団体は、予防可能な病気のまん延や、戦闘で悪化する健康リスクについても警告している。 「極めて高い人口密度、極めて悪い衛生状態、高温、トイレへのアクセスがほとんどない状況は、病気の発生を招く完璧で恐ろしいレシピだ」とクリックス氏は言う。 多くの子どもが病気の治療を必要としているが、ガザのほとんどの病院は機能していない。 クリックス氏は、ガザ北部のカマル・アドワン(Kamal Adwan)病院で、がんや心臓病を患う4人の子どもの患者と会った。 この4人については「すぐにでも医療避難が必要だ。さもなくば、命を落としてしまう」と述べ、極めて厳しい状況に置かれていることを説明した。 映像はユニセフが7~9月に撮影したガザの子どもたちと、9月末にAFPのインタビューに応じたクリックス氏。(c)AFPBB News