バイデン―文電話会談、成功強調する韓国の痛々しさ
バイデン米大統領が就任14日目の2月4日、やっと韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話会談を行った。『20年間の中で最も遅れた首脳電話会談』(朝鮮BIZ)というニュースタイトル通り、バイデン―文在寅の初の首脳電話会談は韓国の歴代政権の中で最も遅く行われ、韓国では米韓関係の異常に対する懸念の声が絶えなかった。 〈竹島を巡って自衛隊との戦闘を想定、韓国軍いまや日本を敵国視〉2013年10月、韓国の軍と警察が実施した竹島への「外国人」上陸阻止を目的とした訓練の模様 特に、バイデン―菅の初の首脳電話会談があった1月28日には、バイデン大統領は菅首相との会談につづいてすぐ韓国とも電話会談を行うだろうとの予測が多かったが、最後まで大統領府の電話ベルは鳴らず、韓国メディアは蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。 ■ バイデン大統領との電話会談、日本に完敗 バイデン氏が大統領に就任する前の11月12日には、バイデン―菅の電話会談から30分遅れて、バイデン―文在寅電話会談が行われた。当時、大統領府は、日本より電話会談が遅れた理由について、「電話会談の時間を先に決めたのは私たち」「米国が我が国に便宜を図らせて時間を決めてくれた」「日本より4分も長く通話した」などなど、いちいち細かい弁明を並べ立てた。 それが今回の首脳会談は、日本よりなんと1週間遅れという「完敗」。そのため、大統領府に弁解の余地はほとんどなかった。その代わりに大統領府が持ち出した説明は、「電話会談が遅れる理由は、大雪とコロナ状況など米国側の国内事情のため」「バイデン政府の初の対北メッセージが出る可能性があるため、通話時点よりは内容が重要だ」というものだった。 しかし、韓国メディアの見方は違った。バイデン―菅間の首脳会談の直前に行われた習近平―文在寅の電話会談が災いしたという推測が大勢を占めたのだ。
■ バイデンより先に習近平と電話会談した韓国に米国は「失望」 1月26日、文在寅大統領は中国の習近平主席と電話による首脳会談を行っていた。中国メディアによると、文大統領は習主席に「中国共産党創立100周年を心からお祝いする」「中国の国際的地位や影響力が日々強まっている」と賛辞を送ったという。 中国を牽制するために米日韓同盟を強調しているバイデン政権としては、韓国の大統領がバイデン大統領より先に習主席と電話会談をしたという事実自体が気に入らなかったというのが、韓国メディアの分析だ。この分析を証明するかのように、米国の次期上院外交委員長の民主党のロバート・メネンデス議員は朝鮮日報とのインタビューの中で、文大統領に対し「失望した」「懸念される」「それ(中国共産党の価値)が、私たちが世界や韓国と共有している価値ではないという点を理解していることを願う」と酷評。さらには「こんなことをしようと思って、我々は共に血を流して韓国の防衛と韓半島(朝鮮半島)非核化のために資源を投入し続けたわけではない」と述べたのだ(2月3日付朝鮮日報)。 韓国メディアの憂慮を意識した大統領府は、バイデン大統領と文在寅大統領との首脳電話会談について、事細かに説明した。 「両首脳は幅広いテーマで多くの対話を交わしました。両首脳はコードが合う(価値観などが一致する)対話を交わしました。韓米同盟、グローバル対応など、先ほど発表した懸案問題などで価値観が一致しましたが、文大統領とバイデン大統領にはともにカトリック信者という共通点があります。この点が首脳通話会談で共通コードとなりました」 「対話中、笑いも3回ほどありました。すべてを公開することはできませんが、通話雰囲気をお伝えするために一部分だけ公開するとしたら、文大統領が“就任直後の忙しい中、電話をくださってありがとうございます”とあいさつすると、バイデン大統領は“韓国大統領と通話できないほど忙しくはないです”と答えました。ここで笑いがありました。通話が始まった時でしたが、文大統領が顔に笑みを浮かべるなか、ようやく通話が始まり、本格的に対話が進みました」