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矢田亜希子、健在! 『愛くれ』『やまとなでしこ』から『ギルティ』魔性の母親役への変遷

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リアルサウンド

 裏切りに次ぐ裏切りが話題の『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(読売テレビ・日本テレビ系)の最終回直前、第9話の矢田亜希子は衝撃だった。 【写真】再放送も大好評だった『やまとなでしこ』  第7話から登場した矢田はまさに最終兵器。主人公・爽(新川優愛)を執拗に陥れる瑠衣(中村ゆりか)は、矢田演じる母親・明奈から虐待を受けていた。爽がどんどん不幸になっていく物語の発端は、明奈だったのである。重要な役を、娘役の中村ゆりかとそんなに変わらなそうな現役感でぐいぐい娘に迫っていく。その圧倒的な強さ。こわさ。そして美しさ。  出演話数は短いながら、激しく駆け抜け、鮮烈な印象を残した矢田亜希子は、コロナ禍で自粛期間中、気分転換に最適だった旧ドラマの再放送でも注目の的だった。  『愛していると言ってくれ』(1995年/TBS系)と『やまとなでしこ』(2000年/フジテレビ系)という傑作ラブストーリーの2作で、脇役ながら矢田が華を添えていた。  『愛していると言ってくれ』は矢田のデビュー作。当時彼女は高校生だった。豊川悦司演じる榊晃次の妹・栞を演じる俳優を探していたプロデューサーは、矢田を出演させるため、栞の年齢設定を彼女に合わせて20代前半から高校生へと引き下げたという。それだけ期待を寄せられた存在であったということである。  栞は晃次とは血がつながってない設定で、ゆえに彼を密かに思い、ヒロイン・水野紘子(常盤貴子)をライバル視し、なにかと恋路の邪魔をする。この頃、常盤貴子もフレッシュで輝いていたが、完全なる新人の矢田は輪をかけてフレッシュ。常盤と矢田が対峙すると、ピッカピカに純粋な光が弾けるようだった。  常盤も矢田も、目尻がキッと上がっていて気丈そうだが、常盤演じる紘子はふんわりした雰囲気もあって、対する矢田演じる栞は獲物を一発で仕留めそうな勢いがあり、しかも高校生という若さが、紘子の恋のライバルとして最強であった。  兄を絶対に譲らない!という情熱をもってヒロイン紘子にぶつかっていく栞の瞳は強く、印象的で、ドラマを盛り上げた。  デビュー作は高視聴率で話題になり、順調に人気者になっていった矢田は、1999年、『リング~最終章~』『らせん』(フジテレビ系)では人気ホラーの重要な役・高野舞を演じ、翌、2000年には『クロスファイア』で映画初主演と成長を遂げていく。このときの役は超能力者で、彼女の瞳に宿る想いの強さが存分に生かされていたと言っていい。  90年代から00年代の変わり目の頃、日本はホラーブーム。矢田亜希子に限らず、中谷美紀や仲間由紀恵など、この頃、活躍していた若い女性俳優は、ホラー映画のヒロインとしてどこかミステリアスな雰囲気も求められ、矢田もその中心にいた。  一方で、『やまとなでしこ』で演じた、松嶋菜々子演じるヒロイン桜子の後輩・若葉は、こんな子、なかなかいないと思わせるお嫁さんにしたい役柄である。若葉は『愛していると言ってくれ』に続くヒロインの恋のライバル役。ヒロイン桜子がかなり奔放で、相手役・欧介(堤真一)を振り回していくのに対して、若葉は欧介の店の手伝いなどもして、どう考えても若葉を選んだほうが幸せになれるだろうと視聴者に思わせた。  一見、楚々とした、それこそ大和撫子ふうな桜子が実はやんちゃで、明るめな茶髪で一見キツそうに見える若葉が尽くし型という意外性を、松嶋菜々子と矢田亜希子がじつに的確に演じていた。  デビュー時の負けん気の強さからホラー時代のミステリアスさ、矢田の瞳から放たれる力は、やがて、思慮深さへと色を変えていく。草なぎ剛の代表作のひとつ『僕の生きる道』(2003年/関西テレビ・フジテレビ系)では余命わずかながら誠実に生きていく主人公を見つめ、支えるヒロインを抑制した演技でやり切った。  凛として、媚ることなく、いつも冷静な瞳で世界の果てまで見通すような矢田亜希子。だがその稀有なパワーは、結婚後、長らくなりを潜めていた。そんな矢田亜希子が再び復活してきたのが最近。このごろは母親役を演じるように。それも単なる母親ではなく、何かを抱えたような役である。  『ギルティ~この恋は罪ですか?~』の毒母は、昔とった杵柄ではないが、過去、ホラー映画や超能力ものをやっていたときのあやしいパワーを感じさせた。矢田亜希子、健在なり。さらにそこに年齢相応の深みが加わって、ますます頼もしい。

木俣冬

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