権力やお金を目指す時代はもう終わった…これからの時代に必要な「たったひとつの能力」
どんな物語を生きても構わない
――とはいえ、点と点を結ぶときに、自分が「こうあってほしい」という願いを託しすぎて、物語をつくりすぎてしまうということもあるのではと思うのですが……。 誤解をおそれずに言えば、自分だけの物語をつくってもいいじゃないか、というのが僕の考えです。というのも、人ってそもそも一貫性がないのが普通で、「この時期はやたらと考察していたな」「この時期はエモーショナル過多だったな」など、ふりかえって偏りを自覚することは誰にだってあるでしょう。 でもそのとき、徹底的に考察した経験が、とことんエモーショナルに寄り添った体感が、切り開いてくれる視座もある。その物語を誰かに押しつけて、理解を強要することがなければ、どんな物語を生きていようとかまわないと思いますよ。
誰もが自分の望む山を登ればいい
――たしかに。強要して、相手を変えさせようとするのが、いちばん厄介ですもんね。 むしろ価値観の強要が発生しなくなるのが、「風の時代」の特徴だと僕は思っています。これまでは、世の中に山は一つしか存在せず、どんな才能や性質を持った人も、その山を登る選択肢しか与えられなかった。そのなかで、どこまで登れたかを競い、離脱は失敗と思われ、息苦しい思いをする人も多かったでしょう。だからこそ、コスパ・タイパのように「どうすればラクして登れるか」という発想も生まれたのだと思います。 でもこれからは、形状や高さの違う山がたくさん散らばっていて、誰もが自分の望む山を登ればいい。違う山を登る人と、すれ違ったり交流したりすることはできるだろうけれど、むりに連帯する必要はなくなる。そういう時代がやってくるんです。
視野を広げて、“今”に乗り換える
――なるほど。だから、より星読みで才能を見つけることも必要になるわけですね。「みんなと一緒」でなくなるぶん、責任も生じるから、自分の得意・不得意の解像度も、あげておかなければいけなくなる。 もう一つ、必要になるのが、経験の母数を増やすこと。誰かに価値観を強要したくなる原因の一つは「それ以外を知らない/認めたくない」というところにあります。点と点を結んで広い視野を持てたつもりでいても、実は局地的なところしか見えていないということは、少なくない。自分のなかにはまったくない価値観だけれど「そういうこともあるんだ」と受け止めるスタンスを得るだけで、視野はますます広がると思います。そして、それもまた星読みで身につくことでもあるんですよ。 ――たしかに『星読みで才能を見つける本』で、自分のネイタルチャート(自分の生まれ日の星の配置図)を出して見ていたら「この性質とこの性質、矛盾してない?」って思うことがありました。でも、その矛盾があるのが私ということなんだな、ととらえなおしたら、腑に落ちることもあったり。 決めつけるから、苦しいんですよね。時代が変わるからといって、これまで築き上げられてきたものがすべて失われるわけじゃない。でも、たとえばこれまでは時速80キロの車に乗るのが普通だったのに、300キロの車がスタンダードになって、みんなが乗り換えたとしたら、単純に考えて古い車に乗っている人は置いてきぼりを食らうでしょう。そうならないための武器を身に着けるために、星読みはうってつけのツールなんです。 関連記事【「定年後のおじさん」の暮らしはなぜくっきりと「明暗」が分かれるのか…その「納得の理由」】ではyuji氏が「風の時代」における中高年の生き方について、さらに解説しています。
yuji(占星術師)