権力やお金を目指す時代はもう終わった…これからの時代に必要な「たったひとつの能力」
いま誰もが感じている、明らかな時代の変化。このことは、占星術上で天体の動きが意味することと合致していると言われ、「風の時代」「冥王星水瓶座入り」などの占星術にまつわるトレンドワードを目にすることも多くなっている。社会の価値観がどんどん変わっていく中で、成功できるのはどういう人なのか。発売後1週間で大重版となるほど話題となっている新刊『星読みで才能を見つける本 自分の知らない自分に出会える』(講談社)を上梓した占星術士yuji氏に解き明かしてもらった。 【写真】権力やお金じゃない…これからの時代に必要な「たったひとつの能力」 取材・文/立花もも 写真/大坪尚人(講談社写真映像部)
コスパ・タイパ傾向は、成果主義時代の副産物
――新刊『星読みで才能を見つける本』には、すべての人が何かしらの才能を与えられていて、星を見ればそれがわかると書かれています。ただし、〈どれだけ“先天的な”才能を持たされていても、本人が意識してそれを使おうとしない限りは光を放つことはない〉とも。 今の世の中には、コスパとかタイパとか、最短距離でわかりやすい成果を求めようとする傾向がありますよね。それ以前に称賛されてきた、がむしゃらにコミットして、泥臭くても努力する姿勢とは真逆のように感じられますが、むしろ「結果を出さなければいけない」という点において、意識は同じ。 むしろ、コスパ・タイパという概念は、これまで続いてきた成果主義時代の、副産物だと思っています。そしてそれこそが、山羊座の位置に冥王星が入っていた「土の時代(*)」の特徴です(*占星術において、権力や経済が力を持つとされる時代。約220年前から最近まで続いていた)。 でも、「土の時代」は、今年11月20日に約15年ぶりに冥王星が水瓶座に完全に移行したことで、終わりを迎えました。今後は、自分自身の才能に目を向け、まずは活用してみようと意識することが必要とされる「風の時代」が本格化するのです。
成果の基準は世間ではなく「自分にとってどうか」に変わる
――それは、成果主義の時代ではなくなる、ということなのでしょうか? もちろん、仕事にせよプライベートにせよ、努力する限りは成果がほしいですよね。でもその成果に、一律の基準というものがなくなっていく、ということです。たとえば世の中で「こうあるべき」とされていることのなかには、個人の幸せのためではなく、社会の秩序を守るために、あるいは誰かの思惑を進めるために、都合よく思い込まされていたことも多いと思うんです。 足並みをそろえて、誰もが似たような幸せを追い求めるのではなく、本質を見るまなざしの解像度をあげて、自分にとって何が一番必要なのか、どういう生き方をするのが心地いいのか、精査していくことができる人のほうが、今後は生きやすくなっていく。もちろん、これまでと同じように、コスパ・タイパを重視して、表層的な成果を求める人も一定数はいると思いますが、それが主流になるということはないんじゃないでしょうか。 ――より、個人主義の時代になっていく、と。 ただしそれは、社会に無関心になることとは違います。むしろ占星術というのは暦をベースにした学問なので、その知識を活用しようとすれば、おのずと世の中の流れにも敏感になっていきます。才能を生かすためにも、今世界がどんな動きをしているのか、把握していることは大事ですしね。 「才能を意識して使う」というのは、俯瞰的なまなざしを持ち、才能を活かせる場所を見出すということでもあります。でも、日々のニュースに一喜一憂して惑わされていては、冷静な判断はできないでしょう? たとえば今、外国人労働者が増えてさまざまな問題が起きているとネットニュースでしばしば報じられますが、星の動きを見ていると、社会が外に開かれていく今の流れが、悪い結果をもたらすようには思えない。だとしたら、問題の原因は別の場所にあるのではないかと考える。時代の流れに抗うのではなく、その流れのなかで自分に何ができるのかを考えるようにする。そんなふうに、独自の視点をもつことが大事だと思います。 ――今、さまざまに価値観が揺らいでいるのも、「土の時代」から「風の時代」に移行している最中なのだから仕方がない、と考えると、ちょっと焦りもおさえられますね。 そうなんです。今は端境期なんだということが、星を読めば一発でわかる。そうすると、「なんでこんなことになっているんだろう」「これからどうなるんだろう」とは思わず、変わりゆく価値観に身をゆだねていた方が生きやすくなりそうだぞ、ということも見えてくる。世の中には、社会の律とは別に、宇宙の律というものもあります。物事は独立した点ではなく、必ず点と点を結ぶ流れがあるのだと知っておくだけで、得することは多いと思いますね。