家庭を持つってそんなに大切? 働く女性たちに課される不可解なパーフェクション。
イノベーションで世界を変えようと挑戦する女性起業家やリーダーたちは、ジェンダーギャップ解消のアドボケイトだ。しかし、往々にして人々に根付くアンコンシャスバイアス(=無意識の偏見)が彼女たちを苦しめ、女性の活躍を阻む障壁になっている。働く女性に課される理想像と社会に必要なマインドシフトについて、2人の女性に話を聞いた。
旧態依然な価値観からの解放。(音楽家 / 37歳)
女子大学生のグループと雑談中のこと。その中の数人が、とある女性起業家を「魅力的だし社会的に成功したインフルエンサーとして尊敬できるけれど、彼女、結婚していないよね」と評したのに驚いた。結婚していないことになんの不都合があるのだろうかと疑問を感じ、よくよく話を聞いてみると、「女性は男性と同じように社会的に成功できるわけがない、成功するには結婚や出産を諦めなければならない」という強い思い込みがあるのだと知った。さらには「女性の成功は仕事での活躍よりも結婚や出産」といった声も。いまだにこうした考え方が若い女性たちの主流の価値観なのだとしたら、女性活躍社会の実現など、遠い夢のように思えてくる。 ちなみに私は、30代後半の独身。「仕事が楽しく、趣味も充実している」と話すと、相手が日本人の場合は性別を問わず、「あとは結婚相手を見つけるだけだね!」と無邪気にアドバイスされることが多々ある。どうやら、打ち込める仕事や趣味があるだけでは十分ではないらしい。そこに結婚が加わってはじめて「一人前」と考える風潮は、21世紀の今も消えていないようだ。 パートナーがいることや子どもを持つことは、もちろん素晴らしいことだ。しかし、自分の夢や目標のために異なる選択をする女性は、もはや少なくないはず。日本にも、もっと多様なロールモデルがいてくれれば、既婚未婚、あるいは子どもがいる・いないに関わらず、主体的に自分の人生を設計しようする女性たちが自信を持って前に進めるのではないか。それが「女性活躍」の意味であってほしい。