草彅剛さん 大河『青天を衝け』で見せた、穏やかな存在感と秘めた闘志
現在放映中のNHK大河ドラマ『青天を衝(つ)け』は、2024年度から新一万円札の顔になる渋沢栄一の人生を描いた物語ということで、多くの視聴者の関心を集めています。吉沢亮さんが演じる主人公の渋沢栄一は「日本資本主義の父」と呼ばれ、500以上もの企業や団体の設立・運営の他、社会公共事業などにも関わり、晩年は民間外交にも力を注ぎ、ノーベル平和賞の候補に2度も選ばれた人物です。渋沢は、幕末から明治へと変化する激動の時代に翻弄されながらも「真正の利殖は仁義道徳に基づかなければ、決して永続するものではない」という「道徳経済合一説」を理念に掲げ、自分の利益だけにこだわっていては企業も事業も継続できないとし、『皆が幸福である』という近代日本のあるべき姿を描き続けました。
■大河ドラマで演じる徳川慶喜
その渋沢に多大なる影響を与えた人物の一人が第15代将軍の徳川慶喜です。大河ドラマでは草彅剛さんが演じています。 関東地区の平均世帯視聴率が20.0%を記録した『青天を衝け』第1話の冒頭は、まさに渋沢と慶喜が初対面するシーンから始まりました。渋沢が仕官の意志や自身が抱えている思いを慶喜に伝える場面です。 この対面シーンについて、ツイッターでは多くの視聴者から「見応えがあった」「渋沢栄一と徳川慶喜の物語になりそう」「草彅さんが将軍そのもの」などの声が上がっていました。特に草彅さんの久しぶりの地上波テレビドラマ出演を喜ぶ声が多数あり、役者としての高い評価が健在であることをうかがい知ることができました。 『青天を衝け』の演出を担当している黒崎博氏はNHK番組紹介サイトのインタビュー特集のなかで、草彅さんについて次のように語っています。 「草彅さんはえも言われぬ存在感があります。『孤高の』という言葉が当てはまるでしょうか。15代将軍・徳川慶喜を演じるうえで演技として身にまとっているだけではなく、もしかするとそれは、草彅さんが役者人生の中で積み重ねてこられたことのすべてを使って表現されているのかもしれません。つくづく徳川慶喜という人物にぴったりだなと思っています」