2020年「城観光」の勢力図は?……名古屋や江戸に天守閣の木造再建への動き
全国の城で「天守閣(天守)の木造再建」を目指す動きが活発になってきています。江戸城や名古屋城については「2020年の東京オリンピックまでに」という目標が掲げられ、さながらレースのような状態に。木造建築のチャンピオンと呼べそうな天守閣は、今どれほど再建の必要性があるのでしょうか?
名古屋は市長主導で「江戸」に対抗
15日、名古屋市の河村たかし市長は市内で「名古屋城懇談会」を開き、戦後のコンクリート天守再建時に寄付金を出した関係者を招き、今後の木造再建について意見を聞きました。 「木造で、昔の通りのものができたら素晴らしい」「観光の目玉になる。木造化するなら分相応の寄付をしたい」と関係者からはおおむね歓迎の声。河村市長はわが意を得たりといった様子で「ぜひやりてぃゃあと思っとります」と返しました。 工事費は市の試算で最大400億円ほどと見積もられており、「資金はどう調達できるのか」と疑問の声も。河村市長は「市民債を発行したい。前回の再建時は3分の1を市民の寄付でまかなったので、今回もそれぐらいを目標に」と述べました。 1610(慶長15)年、徳川家康の命で築城された名古屋城は、金鯱の輝く5層の大天守が全国に知られましたが、1945(昭和20)年の空襲で焼失。戦後は市民から約2億円の寄付を募り、総工費約6億円をかけて1959(昭和34)年に鉄骨鉄筋コンクリート造で再建しました。 しかし、内部のエレベーターなどに風情がないと言われ、耐震性能やコンクリートの耐久性にも問題が指摘され始めました。現状で耐震補強すればコストは抑えられますが、寿命は40年程度しかもたないとも。いずれ建て替えるなら「本物を」という声が上がり出したのです。 これに賛同する河村市長は2期目の選挙でも「名古屋城天守閣の本物復元検討着手」を公約に掲げて当選。木造化をテーマにした市民シンポジウムなども積極的に開いてきましたが、東京オリンピック開催が決まってからはさらに前のめりになっています。「江戸」にも動きがあるからです。