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林房雄「繭」 〝忌避された作家〟の母への情【あの名作その時代シリーズ】

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西日本新聞
林房雄「繭」 〝忌避された作家〟の母への情【あの名作その時代シリーズ】

手にした写真とその背後に広がる青い空。林の実像と虚像を対比するかのように映った

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は07年6月10日付のものです。 **********  身なりも物腰も、かっちりとした中年男性は、突然、こちらの言葉を遮った。  「勘弁してください。林房雄と結び付けられることは、どんな形であろうとお断りします」  林の出身地、大分市の某所。ゆかりの地をようやく訪ね当て、話が本題へと入った途端、取材はあっけなく打ち切られた。  「こういう職にある者として、林房雄へのコメントは絶対タブーです。申し訳ないですが」  男性は公職の管理職。  「やっぱり『大東亜戦争肯定論』ですか」  記者の問い掛けに、男性は「自宅の本棚には今でも(本刊、続刊の)二冊とも持っていますが」と言いかけ、慌てて「本を持っているというだけで問題になるから」と口をつぐんだ。  林房雄とは、そういう作家である。

本文:2,385文字

写真:1

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