「VAN(ヴァン)」の歴史と振り返る“アイビールック”と“みゆき族”
1960年代、日本に“アイビールック”というスタイルを浸透させた「VAN(ヴァン)」。戦後における日本のファッションの発展に大きく貢献したブランドというと堅苦しいが、ブランド設立から70年以上が経った現在でも、若い世代のデザイナーからコラボレーションのラブコールが絶えないという事実がそれを物語っている。 今回はVANの歴史と基礎知識的なところを、株式会社ヴァンヂャケットのプレス担当に取材を行った。
アイビールックをいち早く日本で取り入れた
「VANが誕生したのは1948年で、創業者は石津 謙介(いしづ けんすけ)という人物です。戦後の日本に洋服の文化とともにアメリカンカルチャーを広めた人物として知られています。
最初はスーツ、当時でいう“背広”を作っていたのですが、その頃アメリカでは、アイビーリーグの学生たちの間で“アイビールック”という紺のブレザーや、ボタンダウンシャツにスポーティなカジュアルテイストを取り入れた、アメリカントラッドスタイルのファッションが流行っていて、そのスタイルをいち早く日本で紹介したというのが、近年のVANのイメージに繋がっていると思います」
アイビールックのバイブル『TAKE IVY(テイク アイビー)』
VANは1965年に『TAKE IVY(テイク アイビー)』という映像作品と写真集を発表する。これがその後の日本のアイビールックに大きな影響を与える。
「このTAKE IVYは石津 謙介氏の長男で祥介(しょうすけ)氏とカメラマンの林田 昭慶(はやしだ てるよし)氏が、アメリカで現地のアイビーリーガーたちのリアルな姿を撮影し映像と写真をまとめたものなのですが、この写真集は発売後に、アイビーやアメリカントラッドスタイルのバイブルとして語り継がれるものになっていきます。 廃刊と復刊を繰り返し、2000年代にはアメリカ版も発売されました。アメリカで撮影した和書が逆輸入のようにアメリカで売られるというのもすごいお話だと思います」
VANの代名詞「スウィングトップ」
ここからはVANの代名詞である「スウィングトップ」を引き続き歴史を振り返りながら紹介してもらおう。