Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
「誰も幸せになれない」
また彼は、ネットフリックスは早期の打ち切り決定が視聴者に及ぼす影響も考えるべきだと述べた。新しい作品が始まってもすぐに打ち切られる可能性が高いと考えれば、視聴者の「見る意欲」がそがれるかもしれないからだ。 最後に、独立系の制作会社シュド・ウィー・スタジオを率いるエリザベス・コックスの意見を聞こう。彼女は、配信打ち切りに関するネットフリックスのやり方が視聴者だけでなくエンタメ業界全体を萎縮させていると考える。 ネットフリックスのような制作・配信会社とクリエーターや視聴者の間にインセンティブの不一致があると、この業界では「誰も幸せになれない」。彼女はそう指摘し、長い目で見れば熱心なファンベースを持つユニークな作品を供給することがネットフリックスの利益になると語った。 「配信会社はお金が欲しい。クリエーターはアートが欲しい。視聴者は娯楽が欲しい。だったら視聴者を楽しませればお金になるのかといえば、必ずしもそうではないと私は思う。視聴者の数と満足度は必ずしも一致しない」 またコックスは「ある程度の奇抜さや特性のある作品は熱心なファンを生む。だがその数は大ヒット作に比べて少ないため、いい作品でも打ち切られてしまう」と語った上で、こう続けた。 「番組のパフォーマンスを評価するに当たって視聴時間や回数だけを見ていると、ファンの熱さみたいなものが抜け落ちてしまう。定額・見放題のサブスクリプション方式のビジネスにとって、果たしてそれでいいのだろうか」 「独立系のプロダクションはクリエーティブで多様な作品を提供するために頑張っている。たとえネットフリックスで配信を打ち切られても、私たちには自分の作品を別な会社に持ち込む権利がある。でも、インディーズの作品がたくさんの視聴者をつかむのは難しい。本当に」
ビリー・シュワブ・ダン(エンターテインメント担当)