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無観客の試合に早く慣れた選手が新型コロナに負けない気概を見せるはずです/デーブ大久保コラム

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週刊ベースボールONLINE

 いよいよ、開幕しました! と言いたいところですが、このコラムの話をしているときは、雑誌のタイムラグがあって、まだ開幕前です。先日、野球解説で神宮球場に行きました。そのときの練習の雰囲気や、報道陣の数の少なさがすごく気になりましたね。そして何より、ファンがいない中で試合をやるのが異様な感じでした。 プロ野球がコロナウイルスに立ち向かうために必要なこと──  30年以上プロ野球の中で生きてきた人間にとって、蒸し暑い季節の中で、熱狂的なお客さんが試合前から球場に入っていて、その中で練習したりするということが、当たり前として体の中にしみ込んでいるわけです。しかし、ふだんならシーズン半ばの蒸し暑い季節に、お客さんがいない……この異常さが、新型コロナウイルスをさらに脅威に感じてしまう要因にもなってしまうのです。  都内の私の家の近くの公園。ブランコなども縛られ使えない。「肉蔵でーぶ」のある新橋の人の少なさ、というのを目の当たりにして、新型コロナの恐怖を感じたりしていましたが、それ以上に、慣れ親しみ、生活をかけていた場所、球場が今まで経験したことのない雰囲気になっている。そこにこのウイルスの脅威をさらに感じてしまったのです。  その異様な雰囲気の中で始まるプロ野球。選手たちは一生懸命にプレーすると思います。投手が投げる瞬間、打者が打つ直前というのは、最大集中をしていますので、観客の声援はもともと聞こえていない。そこは無観客でも変わりない部分ですので、質は落ちないはずです。一方で、もしかしたら観客の声援をプレッシャーに感じていて、今まで力が出せなかった選手が力を出す可能性があります。  これは先輩の池田親興さん(元阪神ほか)が話していたことですが、9回2アウト2ストライクの場面で投手があと1球で勝つというときです。応援団からの「あと1球、あと1球と言われると……本当は1球ボールで誘いたいけど、勝負しなくちゃいけない雰囲気になる。それでかえってプレッシャーを感じた経験がある」と。つまり無観客では余計なプレッシャーを受けずに、プレーできる環境になる可能性があります。  一方で、声援を背に、思い切りプレーしていた選手は、無観客で力が発揮できない……そんなことはありません。そういう場合でも、その雰囲気にいち早く対応できる選手が一軍でレギュラーを張っているので、心配はないと思いますね。  昔、車のシートベルトは義務付けられていませんでした。しかし、今では皆さん自然とシートベルトをしますよね? 最近は新型コロナ対策で消毒、マスクが当たり前に。それは人が環境に慣れるからです。プロ野球選手も同じで、いかに早く無観客に慣れるかです。  早くそういうことにも慣れることで「新型コロナ」に負けるものか!という気概にも変わっていくはずです。まずはプロ野球で、その流れを作ってほしいですね。 『週刊ベースボール』2020年6月29日号(6月24日発売)より PROFILE 大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

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