コンテンツクリエイター経済、それ自体は成長する一方で「参入者の脱落は3年連続で増加」 一体、何が起きている?
ソーシャルメディアの普及により「コンテンツクリエイター」という主に動画や画像、ブログ投稿などのオリジナルコンテンツの制作と共有を生業とする職業が注目を集めてきた。 【画像】ピークは2021年。その後3年連続で低下している。「勝者総取りの構造」に限界か? しかし、そこに参入した人たちの「脱落が目立つようになった」と報じられている。 米紙「ロサンゼルス・タイムズ」によれば、「クリエイターエコノミー」は2024年現在、2500億ドル(約38兆5900億円)規模と見積もられており、今後4年以内に5000億ドル(約77兆1825億円)規模へと成長すると予測されている。 しかし、その成長の一方で、ここ数年でコンテンツクリエイターとして収入を得ている人の割合は減少し続けている。 米誌「フォーチュン」によれば、米金融機関「バンク・オブ・アメリカ(BofA)」の顧客のうち、コンテンツクリエイターとして収入を得ている人の割合は、2024年11月現在、0.20%となっており、2021年の0.25%をピークに3年連続で低下している。 パンデミック前の2019年のコンテンツクリエイターとして収入を得ている人の割合は、0.10%をわずかに上回る程度だった。 ピークの2021年当時は、ロックダウンにより人々が自宅に留まり、新しい趣味やショッピング、スキル習得などあらゆる情報をネット上で探していたため、さまざまなコンテンツへの需要が高まっていた。 そのため、パンデミックは「コンテンツクリエイターの急増に拍車をかけていた」という。 だが、パンデミック後は、ピーク時ほど人々がオンライン上で時間を過ごさなくなり、全体的な視聴回数自体が減少している。 これがコンテンツクリエイターの減少の要因の一部になっている可能性があると、同誌は指摘している。 ただ、より大きな要因は「トップとその他大勢の格差の広がり」であるという。
どのプラットフォームも「勝者総取りの構造」
BofAは「コンテンツクリエーターの平均月収は「米国の典型的なフルタイム従業員の平均月収のわずか20%にすぎない」と同誌に述べている。 「コンテンツクリエーターの平均月収が、典型的なフルタイム労働者の平均週収を上回ったのは過去5年間で1度だけ。つまり、コンテンツ制作で生計を立てている人はほとんどおらず、ましてやコンテンツ制作でお金持ちになっている人はほんのひと握りだ」 実際、トップクリエイターと呼ばれるフォロワー数や再生回数の多い「ひと握りの成功者」に富が集まっており、彼らの収入は増加傾向にある。 一方で、それ以外のその他大勢は、その仕事だけで生計が立てられるほどの収入を得られておらず、トップとその他大勢の「格差は広がり続けている」。 その要因のひとつには、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームがエンゲージメント率の高いクリエイターを優遇するアルゴリズムを使用しており、勝者総取りの構造になっていることがある。