新世代のベストは「E」! ミニ・クーパーへ試乗 走りの特徴はエンジン版に酷似 航続距離は充分アリ
エンジン版と驚くほど似ている動的な特徴
新世代へ一新したミニ・クーパー。AUTOCARでは、先代の大アップデート版といえる内燃エンジン版へ試乗し、小さなサイズと活発なシャシーが生む魅力を確認した。だが、MTの消滅を嘆いている。7速デュアルクラッチATには、パドルが欲しいと思った。 【写真】走りの特徴はエンジン版に酷似 ミニ・クーパー E 競合の小型BEV 新型カントリーマンも (146枚) 筆者としては、新しいクーパーではMTが理想的。しかし、これは叶えられそうにない。 それでは、逆転の発想はどうだろう。複雑なトランスミッションのことは忘れて、1速のリダクション・ギアへ割り切ってしまったら? そもそも、本当の新世代といえるミニは電気モーター版だ。英国では、クーパー Eとクーパー SEの2種類が販売されている。 ベーシックなミニ・クーパーがEで、最高出力は183ps。駆動用バッテリーの容量は36.6kWhあり、航続距離は302kmがうたわれる。その上のSEは218ps。49.2kWhの容量で、1度の充電で399kmを走れると主張されている。 最高出力に関わらず、プラットフォームは内燃エンジン版と別物。それでも、見た目と同様に動的な特徴は驚くほど似ている。 サスペンションは硬めで、手応えの薄いステアリングホイールは軽め。操舵と同時にアクセルペダルを調整すると、小気味よく回頭していける。 ボディサイズが成長したとはいえ、全長は3876mmと、現代基準では小さいと呼べる範囲。混雑した市街地だけでなく、幅員の狭い郊外の道でも、少ない緊張感で思い切り走り回れる。
トルクステアと軽くない車重 硬めの乗り心地
内燃エンジン版と乗り比べてみると、電気モーター版のクーパー Eでは、シャシーの気になる部分が見えてくる。平滑ではないアスファルト上で一気に追い越しを掛けると、 有り余るパワーでラインが乱れる、トルクステアが盛大に発生するのだ。 トラクション・コントロールが介入するとはいえ、積極的な加速時は、ステアリングホイールをしっかり両手で握っていた方が良いだろう。片腕をドアに乗せて安楽に走れるほど、余裕のトルクがあるとしても。 駆動用バッテリーも軽くない。車重は、軽量なEでも1540kg。容量が大きいSEでは、1605kgに届いてしまう。 バッテリーの搭載位置は低く、重心高も低いことで、旋回時はその重さを感じにくい。確かなグリップ力とクイックなステアリング、巧妙なシャシーバランスが、効果的に機能している。だが、ボディの垂直方向の動きを通じて、重さを感じ取れてしまう。 Eの方が軽いぶん、乗り心地は落ち着いていて快適性は高い。それでも、ミニのクーパーへ求めたくなるのは、爽快なパワーなことも事実ではある。SEの強烈なパンチ力が、運転の楽しさを強化していることは否定できない。 ちなみに、トルクステアと硬めの乗り心地は、内燃エンジン版でも存在する。程度は軽いとしても。