日経平均は大台割れ後に下げ渋り、為替にらみ 高ボラティリティ継続
Noriyuki Hirata [東京 9日 ロイター] - 9日の東京市場で日経平均は3万6000円の大台を割り込み、一時1100円超下落した。前週末に発表された8月の米雇用統計が市場予想を下回り、米株が大幅下落したことや、為替市場での円高を嫌気する動きが先行した。その後はドル/円が底堅い値動きとなり、株価には下げ渋りも見られるが、今週も重要イベントを控えており、ボラティリティの高まりが意識されそうだ。 米国市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合の下落が大きく、東京エレクトロンなど日経平均への寄与度の高い半導体関連株が総じて軟調なことが、指数の押し下げに作用している。米フィラデルフィア半導体指数(SOX)は4.5%安だった。 米長期金利が低下する中、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの金融株も弱い。朝方のドル/円は前週末の日本時間午後3時時点からやや円高の142円前半で、トヨタ自動車など輸出関連株にも逆風となった。 米景気への懸念も株式市場に影を落としている。米WTI先物は1.48ドル(2.14%)安の67.67ドルと、2023年6月以来の安値となった。 米雇用統計での非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったが「過度に弱いわけではない」とニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。それでも米国市場では株価の主要3指数が下落しており、「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では25ベーシスでは利下げ幅は物足りないとの催促相場かもしれない」(井出氏)との見方がある。 外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は、米雇用統計からは、雇用情勢の緩やかな悪化が改めて確認されたが、市場が焦点を当てている9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅がどうなるかの「決定打にはならなかった」と指摘する。 <ドル/円の底堅い動きが支え> 一方、ドル/円は東京の取引時間中に142円後半へと円安方向に振れており、輸出関連株を中心に下値を支え、日経平均は下げ渋っている。「取引時間中にドルが142円を下回りでもしなければ、株価も大きく崩れそうにない」(国内証券のストラテジスト)との見方も聞かれる。 外為どっとコム総研の神田氏は「(ドルが)すぐに140円を割れる方向ではなくても、145円に戻すのも苦しくなった」とみており、9月FOMCまでは140─145円のレンジ推移との見立てを示す。 当面は為替動向をみながら不安定な相場が続きそうだが、「ある意味、2番底をつけたほうが相場としては健全」と、GCIアセットマネジメントの池田隆政ポートフォリオマネージャーはみている。 池田氏は、急速な円高があれば、日本株の売りは強まりやすいとして「ドルが140円台を割れた場合は、日経平均は3万1000―3万5000円のレンジになるのではないか」と話している。 今週は11日の米消費者物価指数(CPI)発表や週末のメジャーSQ(特別清算指数)算出を控えてる。ニッセイ基礎研の井出氏は「目先はボラティリティの高まりが想定される」との見通しを示している。