牧秀悟の“劇的満塁弾”を呼び込んだ辰己涼介の打席「神は降りてきてないな…とにかく牧につなぐと思って」《侍ジャパン逆転劇の舞台裏》
とにかく牧につなぐと思って…
そのノンプレッシャーの頭にあったのは、こんな思いだったという。 「ここではないなって感じがしました。神は降りてきていないなという感じがしたので、つなぐ方(打撃)に切り替えました。とにかく牧につなぐと思って打席に入っていましたが、思い描いた通りになったので良かったと思います」 1ボールからの2球目。インハイの難しい球をバットの根っこで詰まりながらも逆方向に持っていった左前安打だ。 「気持ち? いや技術で持っていったって感じですね。でもたまたまヒットになった感じで、あれは運です。僕は運がいいので」
「井端さんは絶対なんで」
ただ、ただ運が良かっただけはない。 実は大会に入って辰己はこの試合までに7本の安打を放っているが、そのうち6本がセンターから逆方向への打球なのである。 「国際大会は逆方向への打撃が基本になる」 こう語っていたのは現役時代から国際大会で抜群の結果を残してきた井端弘和監督だった。 「基本的には引っ張りたいんですけどね。手の内は明かしたくないんで、あまりバッティングのことは聞いて欲しくないんです……」 こう語って言葉を濁す辰己に、改めて井端監督の話を振ると――。 「井端監督のおっしゃる通りですね。井端さんは絶対なんで。逆方向です」 どこまでが本音でどこまでが煙に巻いているのかは分からない。それでも確かに結果的には井端監督の国際試合での鉄則通りの逆方向へのバッティングが、この回の打線をつなぎ、相手投手にプレッシャーを与える結果へとなったのは確かだ。 この辰己の一打で代わったP・ガルシア投手は、走者が溜まった場面の重圧に負けて制球が定まらず、続く森下翔太外野手(阪神)がファウルで四球で粘って死球を奪って満塁、栗原陵矢内野手(ソフトバンク)も際どいコースをしっかり見切って押し出しの四球を選んで、日本は同点に追いつく。そしてなお満塁から飛び出したのが、牧の劇的な本塁打だったのである。
【関連記事】
- 【写真】劇的満塁弾で思わず“ドヤ顔”の牧秀悟…侍ジャパン勝負を決めた一発からのバット投げ&大はしゃぎジャンプまでを連続写真でイッキ見する!
- 【あわせて読みたい】「チャンスの方から追いかけてくる男」牧秀悟のベネズエラ戦“衝撃の満塁弾”は予言されていた…井端弘和監督は「絶対牧に回ってくる」「狙い通り」
- 【必読】「本来4番を打てる打者ですけど」侍ジャパン井端弘和監督が牧秀悟を6番で起用するワケ…プレミア12“連覇のキーマン”に挙げた佐野恵太の役割とは
- 【こちらも】「必ずWBCに降臨したい」プレミア12侍ジャパン初選出の辰己涼介がキャラ全開…大谷翔平ポーズにヌートバーのペッパーミル「僕のオリジナルです」
- 【注目】「クセに注目しすぎて」超速・五十幡亮汰はなぜプレミア12米国戦で盗塁死した? 本人&亀井義行コーチが明かす「サニブラウンに勝った足だけでなく…」