牧秀悟の“劇的満塁弾”を呼び込んだ辰己涼介の打席「神は降りてきてないな…とにかく牧につなぐと思って」《侍ジャパン逆転劇の舞台裏》
野球の国際大会「第3回プレミア12」の日本代表・侍ジャパンは2次リーグのスーパーラウンド第2戦でベネズエラと対戦。1度は逆転を許した直後の6回、牧秀悟内野手(DeNA)の満塁本塁打などで一気に6点奪って再逆転に成功するとそのまま逃げ切り快勝し、2連勝で決勝進出に王手をかけた。 【写真】劇的満塁弾で思わず“ドヤ顔”の牧秀悟…侍ジャパン勝負を決めた一発からのバット投げ&大はしゃぎジャンプまでを連続写真でイッキ見する! 牧の一発で決まった試合。 2死満塁という場面でしっかりバットを振り抜いて、グランドスラムというこれ以上ない結果を出した背番号2も凄かった。ただこの逆転劇を振り返れば、牧の一打の前にポイントとなった2つの打席があったように思う。
嫌なムードを払拭する一撃
6回。2番手の井上温大投手(巨人)が2ランなどで3点を奪われ、3対5と2点を追いかける展開から始まった逆転劇。 ポイントの1つは嫌なムードを払拭する坂倉将吾捕手(広島)の一撃だ。 「ハルト(井上温大)が頑張っていたのに点を取られてしまったので、何とかしてあげたいなという思いもあった。取られちゃったものは仕方ないので、取り返すしかない。引きずってもしょうがない」 坂倉がこう振り返った打席は6回1死だった。4回から好投を続けてきたベネズエラの3番手、L・ベレト投手のカウント2ボールからの3球目だ。 「ボール先行だったので変化球はないだろうと……」 真っ直ぐに絞っているところに来た149kmを、迷いなく振り抜いた。打球は右中間スタンドに飛び込む反撃の一発となり、ベネズエラに流れかけた試合の流れを押し止める役割を果たすものだった。
辰己節「ちょっとネジが飛んでもうてるんで」
1番の桑原将志外野手(DeNA)が倒れた2死から、つないで、つなぐ侍打線の真骨頂が始まる。2番・小園海斗内野手(広島)がフルカウントから歩く。そして2つ目のポイントとなった3番・辰己涼介外野手の打席が回ってきた。 「モイネロの死球でスイッチが入りました。モイネロに感謝です」 まずは独特な辰己節だ。 1次ラウンドのキューバ戦でソフトバンクのL・モイネロ投手から右肘に死球を受けて球場から病院送りとなり、一時はスーパーラウンドの出場も危ぶまれた。しかし骨には異状はなく、打撲で米国戦から元気に復帰。本人曰く、あのモイネロに死球を受けたことで、逆に集中力が一気に高まってスーパーラウンドに乗り込んできているのだという。 その言葉に……ウソはない。 スーパーラウンド初戦の米国戦でマルチの2安打。この試合でも1回にまずは試合を動かす先制打を放った。 1死二塁からの左越えタイムリー二塁打。ベネズエラの先発、R・ピント投手に追い込まれながら外角寄り151kmを逆らわずに打ち返した。 「会心の一撃ではなかったですけど、台湾ドームなら入っていたと思います」 そして4回にも全力疾走で一塁内野安打を放って、迎えた6回の第4打席だ。 2死一塁。ここで打線が切れてしまえば、盛り上がったムードも一気に萎んで、再び相手に流れがいってしまう難しい場面。逆に言えば最も重圧のかかる打席だったはずである。 それでも辰己はノンプレッシャーだったと、関西弁でこう語る。 「なんかちょっとネジが飛んでもうてるんで。はっきり言って重圧とかプレッシャーとかあまり感じないタイプなので、感じなかったですけどね」
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