PCR検査体制強化が最大コロナ対策【2021年を占う!】医療
【まとめ】
・日本のコロナ対策は上手くいってない。GDP落ち込みは酷い。 ・多数の病院が少数の患者を受け入れ、医療現場が疲弊。 ・PCR検査体制の強化がもっとも有効なコロナ対策。
2020年は新型コロナウイルス(以下コロナ)対策に明け暮れた1年だった。来年もこの状況が続くだろう。 コロナ対策は、日本社会の地盤沈下を浮き彫りにした。政府は「日本型モデル」の成功と自画自賛するが、東アジアで人口当たりの感染者数、死者数は最大で、GDPの落ち込みはもっとも酷い(表1)。
欧米と比べると上手く対応したという声もあるが、実はそうでもない。確かに、人口あたりの死者数は欧米より少ないが、7-9月期のGDP対前年同期比は多くの欧米諸国に劣っている(表2)。日本より酷いのは英国とスペインくらいだ。
さらに第三波では、アメリカと比べて40分の1、欧州で最も感染者数が少ないドイツと比べても10分の1の感染者しかいないのに、「重症ベッドは切迫」など医療崩壊が叫ばれる。 日本の人口あたりの病床数は世界で最も多く、医師不足といえども、欧米諸国より数割少ないに過ぎない(表3)。
どうして、こんなことが起こるのだろうか。メディアに登場する有識者の中には、民間病院が協力しないので、政府の権限を強化し、強制的に重症患者を受け入れさせるべきだと主張する人もいる。これは中国政府が武漢にコロナ専門病院を立ち上げて、一手に患者を引き受けたことをイメージしているのだろうが的外れだ。コロナの重症患者の管理は難しい。熟練したスタッフを抱えていない病院に無理矢理引き受けさせても、患者のためにはならない。 どうすればいいのか。もっと海外の事例を研究すべきだ。表4は、第一波のある時点での米国マサチューセッツ州における主要病院のコロナ感染者の受け入れ数を示している。一部の病院が多数の重症患者を受け入れていることがわかる。もっとも受け入れたマサチューセッツ総合病院は、ハーバード大学の関連施設で、全米で最も有名な病院である。実に121人もの重症コロナ患者を受け入れている。12月24日現在の東京都の重症患者数は74人である。マサチューセッツ総合病院1つで受け入れている数である。