「“痛いから湿布を貼って安静に”は間違い」冬のツラい“ひざ痛”は伸ばして治す
冬でも家でできるひざを伸ばす運動
「ひざの皿は滑車の役割をしており、関節を伸ばしきれていないとひざ全体に余計な負荷がかかります。ひざの皿が圧迫され、関節に炎症が起こり、痛みが発生してしまう。ひざがしっかり伸ばせると、軟骨がすり減りにくくなるので、痛みが和らぎ、水もたまりにくくなります」 高林さんが考案した運動は、曲がりやすいひざを伸ばし、内側広筋などの太ももの筋肉をラクに鍛えることができるという。 「太ももの筋肉がうまく使えないと、ひざの皿が本来の役割を発揮できないため、どんな運動や治療を行ってもひざ痛は解消しません。この運動を続けると、緩んでいた靭帯(じんたい)が正しく機能し、ひざ関節が安定するようにもなります」 加えて痛みの予防やO脚改善にも期待できる。 ひざ痛のキーになるのは、ひざの皿と大腿骨をつなぐ「膝蓋(しつがい)大腿関節」だ。 「あまり知られていませんが、この関節が硬くなるとひざの皿が正しく機能せず、軟骨がすり減って変形性膝関節症が進行してしまいます。ひざのお皿を浮かせて動かすことで、関節の炎症を取り除き、周辺の筋肉もやわらかくなり痛みを軽減できます」 この3ステップの運動を毎日、できればお風呂上がりなど身体が温まっているときに行う。そして、座りっぱなしにならない生活が大切だ。 「日本人は世界で一番座っている時間が長いというデータがあります。今回紹介した運動は、痛みがあってもできるもの。冬でもひざのコンディションを整え、痛みのない生活を送りましょう」 ※「ひざ伸ばし」はひざに腫れや痛みがあってもできる運動です。ただし頑張りすぎてしまうのはNG。医師に相談のうえ、無理のない範囲で運動療法を行ってください。
ひざ痛を予防するための運動3ステップ
お風呂上がりなど、身体が温まっている時に行おう STEP1:ひざ伸ばし 30秒×2回 ひざを伸ばすことで硬くなった組織をほぐし、血流を良くして関節の痛みを改善。ひざが伸びきることで筋肉の衰えをストップ。 イスに垂直に座り両手をひざ上へ イスに浅く座り、足を肩幅に開く。片方の足を前方に伸ばしてひざを伸ばしたら、左右の手のひらを重ねて太ももの上にのせる。つま先を天井に向けて30秒キープ。反対側の足も同様に行う。 STEP2:かかと上げ 10秒キープ×左右各5回 太ももの筋肉、大腿四頭筋を鍛える。特に太ももの内側の内側広筋を使うのでこのトレーニングを行うと、ひざのお皿が安定する。 片足を上げて足首を90度に イスに座り、片方の足を床と水平になるまで上げ、足首を前方に伸ばす。足首を曲げて90度の角度にして10秒キープ。上体が後ろに倒れないように注意。反対側の足も同様に行う。 STEP3:ひざのお皿浮かし 各10秒間 ひざのお皿を浮かせて動かすことで、ひざのお皿と大腿骨の関節の炎症を取り除く。ひざ周辺の筋肉もやわらかくなるので、ひざ全体の痛みを軽減する効果がある。 お皿を指で浮かせて動かす 床に座り両足を前に伸ばす。片方の足のひざのお皿を両手の親指と人さし指で左右から挟むように押さえる。ひざのお皿を軽く浮かせ、左右、上下、斜めにそれぞれ10秒間揺らす。反対側の足も同様に。 教えてくれたのは……高林孝光さん●アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。治療家(鍼灸師・柔道整復師)として10万人以上を施術。『ひざ痛がウソのように消 える!1日40秒×2 ひざのお皿エクササイズ』(CCCメディアハウス)などの著書も多数。 取材・文/ますみかん 写真・イラスト/『ひざ痛がウソのように消える!1日40秒×2 ひざのお皿エクササイズ』より