シニア女性800名の年金生活、2人以上世帯は黒字、1人世帯は月平均6万139円の赤字
消費税増税や新型コロナウイルスの感染拡大によって、時代の先がさらに見えにくくなっています。しかし、現在の我が国の平均寿命は、男性が81.2歳、女性が87.3歳と延伸を続けており、老後のお金に対する不安は高まる一方です。こうした中、生きかた上手研究所が、55~79歳の女性約800名を対象に「年金とお金の使い方に関する意識調査」を実施しました。それに基づいて、シニア女性の年金生活の実態と老後のお金に対する不安をご紹介していきます。
■年金受給開始の平均年齢は、国民年金・厚生年金ともに65歳未満の結果に
まず、公的年金の受給状況を見ていきましょう。シニア女性のうち、自分か夫のうち1人でも公的年金を受給しているかを尋ねたところ、約8割が公的年金を受給していると回答しました。また、公的年金を自分自身が受給しているシニア女性が国民年金を受給し始めた平均年齢は63.1歳でした。ここから、通常65歳である受給開始年齢を繰りあげている人が少なくないことが分かります。厚生年金受給の開始年齢は61.8歳であり、これは受給開始年齢引き上げの移行期間中に受給した人が多いためと考えられます。
■老後のお金に対する心配 3位生活費 2位医療費 1位は?
それでは、シニア女性は老後のお金に対してどのような気持ちを抱いているのでしょうか? 老後のお金に対して「心配している」割合を調査しました。すると、公的年金受給中世帯では12%なのに対し、公的年金受給前の世帯では28%と、15%の差が見られました。受給前の方が、老後のお金をより懸念していることが分かります。 さらに、老後のお金について「心配している」と回答した人に、「老後のお金について具体的に心配なこと」をたずねたところ、「介護費」が第一位となりました。2位は「医療費」、3位は「生活費」と続き、日々かかる出費を気に掛ける人が多くなっています。そのほかには夫の年金収入に対する不安や、年齢を考慮した家のリフォーム代金など大きなお金の変動を心配する人が多いことが分かりました。
■世帯収支の大きな差 2人以上世帯の家計で320円/月の黒字 1人世帯の家計では平均6万139円/月の赤字
さらに、収入が年金のみの世帯について月当たりの収支を算出したところ、2人以上世帯では平均収支が320円の黒字ですが、1人世帯では平均6万139円の赤字だという結果になりました。人数による世帯収入の差が、家計の差を生んでいることが分かります。 最後に、年金収入のみ世帯の「老後のお金について不安に感じていること」を伺いました。1人世帯、2人以上世帯に共通しているのは、病気・介護費用の負担が増加することへの不安があるという点です。また、2人以上世帯では、夫の介護・医療費や、夫が亡くなった後の生活を不安視する声もみられました。以下では、実際に寄せられた声をご紹介します。 【1人世帯】 ・毎月の赤字は預貯金を下ろしているので、心配になることがあります。(67歳) ・年金額が少ないので、病気やケガ、介護が必要になった時、子供達に迷惑かけたくないので、長生きするのも心配です。(76歳) 【2人世帯】 ・夫婦2人が健康でいる時は良いが、夫が先に亡くなった後の自分一人の生活が心配です。(65歳) ・持ち家なので、家の老朽化に伴うリフォーム代。収入が年金しかないので、孫がだんだん成長し、色々な面で支出が多くなってくるので、不安な気持ちです。(71歳)