就職氷河期世代が退職を迎えると大変なことになる 政府が放置する「国民年金の給付水準が低すぎる」大問題
もちろん、受給は将来のことだから割り引いて評価する必要があるが、これほど高い収益率を実現できる貯蓄手段は、他にはない。これは、基礎年金に対しては半分を国庫負担で賄う仕組みになっているからだ。 もちろん、国庫負担分を増加するには、財源が必要だ。財源として増税を選べば、納税者の負担は増える。しかし、これは、納税者が全体として負担するものだ。国民年金の受給者の場合は、差し引きで利益を受けられる場合がずっと多いだろう。
なお、厚生年金の加入者の場合には、現行制度で65歳まで保険料を支払うので、これに加えて余分の負担が必要になるわけではない。他方で、基礎年金の受給額が増える。 ■看過できない年金の「未納問題」 国民年金保険料については、未納の問題もある。 国民年金の保険料を2年以上納めないままにしておくと、未納となる。年金額に反映されないだけでなく、受給資格期間にも算入されないので、老齢年金を受給できなくなる恐れがある。未納が続くと、最終的には差し押さえのリスクもある。
自営業やアルバイトなどの場合、経済的な理由で保険料を納めることが困難な人が未納になる可能性が高い。就職氷河期の人々には、未納者が多いと言われる。 それだけでなく、「もらう気がないから払わない」とか「どうせもらえないから払わない」という理由で払わない人もいると言われる。20~30代の人の中には、「自分たちの世代は将来年金がもらえないと聞いた。だから、払う意味がない」と考えている人も少なくないという。
小泉内閣当時、17閣僚のうち、7閣僚に国民年金保険料の未納・未加入の時期があって問題となった。2023年1月にも、国会議員の年金未納問題がニュースとなった。 厚生労働省「令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について」によると、2021年度の国民年金保険料の未納者は、106万人だ。国民年金の第1号被保険者に占める割合は約7.4%となっている。 ■厚生年金適用範囲の拡大 【2024年7月23日20時10分追記】初出時に引用漏れがあったため、修正いたしました。