秘密保護法案で注目「知る権利」はなぜ重要?
もし「知る権利」がなかったら?
わかりやすいのは戦前・戦中の日本の状況です。日本が戦争に突き進んだのは、当時の政府や軍部が情報統制を行い、国民の判断材料を奪ったのが一因ともいわれています。特に戦時体制下では、改正された「軍機保護法」などによって徹底的に情報統制が行われました。「知る権利」という言葉は、第2次世界大戦末期にAP通信社のケント・クーパー氏が講演で使ったのが最初といわれますが、その後、ナチスによる言論弾圧が戦争拡大の一因になったとの反省から世界で広く使われるようになった考えなのです。 今回の特定秘密保護法案は、「知る権利」の条文が盛り込まれはしましたが、これはまだ単なる努力義務規定にすぎません。なにが「特定秘密」なのか、本当に「知る権利」は保障されるのか。国会で十分に議論してもらいたいものです。 (野中ツトム/清談社)