伊原六花、夢を追いかける道にはいつも音楽が「好きなのはミュージカルナンバー」最近は竹内まりや、長渕剛もカラオケで熱唱
「誰にでも欲望はあったほうがいいと思っています。こんな私になりたいという気持ちは、自分を押し上げる原動力になると思うから」 【写真あり】お気に入りのヘッドホンをつける伊原六花 高校時代はダンス部でキャプテンを務め、「日本高校ダンス部選手権」で『ダンシング・ヒーロー』に合わせて踊ったバブリーダンスが話題を集めたのは、伊原六花が18歳のときだった。 キュートなルックスと、キレのあるダンスが注目され、なりたい自分……ダンスや演技で表現する道への扉が開いた。 「ダンス部で指導をしてくださっていたakaneさんからは、ダンスを通して役作りの大切さを教えていただきました。バブリーダンスのときは、シューズをブランドもののバッグに入れたり、バブリーな香水をつけたりすることで、バブル時代の女のコになりきれたと思います」 幼いころからバレエを習い、小学生からは子供ミュージカルのレッスンを受け、中学生になるとオーディションを受けてミュージカルに出演。かたわらには常に音楽があり、リズムに乗って表現をすることが、最大の喜びだったという。 「朝起きてから夜ベッドに入るまで、ずっと音楽を聴いていますね。家ではスピーカーから流れていますし、移動中などはこのヘッドホンを愛用しています」 ジャズやクラシックも好きだが、いちばん好きなのは、やはりミュージカルナンバー。 「なかでも『ウエスト・サイド・ストーリー』などを手がけたレナード・バーンスタインという作曲家の作品が好きでよく聴きます。いい音楽は、時代を超えて心に響きます」 ジャズは、ルイ・アームストロングやアート・ブレイキー。ロックなら、ストレイ・キャッツ。 「最近は、少し前の日本の音楽……ニューミュージックもよく聴きます。竹内まりやさん、長渕剛さん、浜田省吾さんの初期の作品は、歌詞がストレートでドラマチック。カラオケでもよく歌います」 自身が生まれる前の音楽をこよなく愛する伊原の最新出演作は、昔懐かしい駄菓子がキーアイテムの映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。 小中学生に大人気の児童小説で、2020年からはテレビアニメも放送されているが、映画は幅広い年代が共感できる内容になっているという。 「タイトルにもある『銭天堂』は、訪れた人の願いを察して、かなえてくれる駄菓子をすすめてくれるお店。私が演じた陽子は、ファッション誌の編集者になったものの、おしゃれに自信がなくて悩んでいたところ、銭天堂へ迷い込むのですが……」 陽子が店主の紅子からすすめられて食べたのは、食べると自分に似合う洋服が光って見える「おしゃれサブレ」。 「私もそうですが、陽子くらいの年齢って社会人になって数年がたち、ちょうど迷う時期だと思うんです。働き始めたころは『とにかく目の前のことをしっかりやらなきゃ』って必死だけど、少したつと『もっと先へ行きたい』『あの人みたいになりたい』という欲望が出てくる。そんなとき、銭天堂ですすめられたらつい食べちゃうと思うんです」 陽子は「おしゃれサブレ」だけでは満足できず、もうひとつの駄菓子屋……相手の弱みにつけ込んで、悪意を生みだす駄菓子屋「たたりめ堂」で、欲しいものをなんでも手に入れられる「強欲アンコ」というお菓子も食べてしまう。 「これも、気持ちが弱っているときに出されたら、食べちゃうかもしれません(笑)」 でも――。 「こうなりたいという欲望をかなえるためには、ちゃんと段階を踏まなくてはならないんですよね。いきなり高い壁は越えられないから、今の自分がギリギリ越えられるかどうかという壁に、少しずつ挑んでいくほうが絶対にいい。そうすることで、一歩ずつ前に進んでいけると思うから」 デビューしたばかりのころは「あのバブリーダンスの」と言われることも多かったが、もうそんな肩書は必要ない。 伊原六花は、軽やかに、そしてしっかりとステップを踏みながら、女優の道を進み続ける。 いはらりっか 1999年6月2日生まれ 大阪府出身 2018年にドラマ『チア☆ダン』(TBS系)で女優デビューし、ドラマ、映画、舞台で活躍。おもな出演作は連続テレビ小説『なつぞら』『ブキウギ』(ともにNHK)、『肝臓を奪われた妻』(日本テレビ系)、映画『リゾートバイト』、舞台『ロミオ&ジュリエット』『台風23号』など 写真・福田ヨシツグ 取材&文・工藤菊香
週刊FLASH 2024年12月24日号