出版界に根付く「ゴーストライター」どうして存在するのか？
最近は「完全ゴースト」は少ない？
ただし、最近はライターの名前が一切でないというケースは聞きません。ライターは将来有望な書き手になる可能性があるため、編集者もその立場を尊重するという理由なのかもしれませんが、基本的に名前を入れるという前提での仕事依頼が多いような印象です。ただ著者としては掲載されず、著書の扉や奥付の「構成」という欄に、ライターの署名がある場合が多いです。もっとも「構成」 ではその著名人が書いたものとみなされない場合もあり、「編集協力」「協力」「取材」といった言い方をされる場合もあります。 また、あとがきやまえがきだけは著者が書くというケースもあり、その場合は、謝辞でライターや編集者の名前を著者があげることもあります。多いのが「特に編集の○○氏、ライターの○○氏には大変お世話になった。彼らがいなければ、本書が出版されることもなかっただろう」というような書かれ方はまるでテンプレートでも存在するかのように、よく見かけます。そのため、いまは無署名で出版されるゴーストライター本はそれほど多くはないといえます。
ライターにとってのメリットは？
さて、フリーランスにとって自分の名前で出せない本に利益はあるといえるでしょうか。10時間近いインタビューをすることで著名人と親しくなれるという可能性はあります。人脈が命のフリーランスにとってはメリットは大きいといえるでしょう。 金銭的に言えばどうでしょうか。支払いでよくあるのが印税を折半というものです。多くの書籍の印税率は10パーセントですから、それを5パーセントずつ著名人とライターで分けるのです。ただし、これも著名人の力関係で変わり、7対3という場合でライターの印税分が低くなる場合もあります。その著者の名前で売れば確実に数万部は売れるという場合は、この例が顕著です。 また、初版では印税は出ず、編集費として支払われる場合もあれば、印税と編集費を両方支払われる場合もあり、著者とライターと編集者の関係性や本のタイプによってさまざまなバリエーションがあります。ひとつ言えるのは、金銭面でライターだけが損をしないように一定の配慮があるのが一般的です。印税と編集費の両方支払いというのが、その好例でしょう。
