【詳細データテスト】ホンダ・ジャズ(フィット) 抜きんでた広さの車内 燃費/洗練性に優れたドライブトレイン クルマ好きには訴えかけず
はじめに
トップは孤独だ、などとうそぶいてみたくもなるが、こと今回のテスト対象が属するグループでは、中間でもビリでも孤独に変わりはない。 【写真】ホンダ・ジャズとライバル (16枚) なにしろ、モーターのみでの走行が可能な、いわゆるストロングハイブリッドシステムを搭載するBセグメントモデルは、ホンダ・ジャズのほかトヨタ・ヤリスとルノー・クリオE-テックしか存在しないのだから。 ジャズ、すなわち日本でいうところのフィットは、コンセプト的には常に機能ファーストで、独創的な室内パッケージを打ち出してきた。2001年の誕生以来、このコンパクトカーは、ずば抜けた実用性と万能ぶりにより、世界中で500万台以上を販売してきた。 歴史的に見ると、欧州マーケットはホンダにとってそれほど大きな稼ぎ場ではなかった。しかし、3代目ジャズの売れ行きは好調で、2015~19年にはホンダの欧州における全販売台数のおよそ25%を占めている。 そして4代目は、今後のさらなる成功を目指しつつ、厳しさを増すエミッション規制への適合に遅れを取らないよう、大がかりな変更が図られた。かつてはガソリンとディーゼルをあわせて、多彩な小排気量エンジンをラインナップしていたが、この新型では欧州仕様をガソリンハイブリッドのみに絞り込んできたのだ。 先に述べたように、ハイブリッドのコンパクトカーはライバルが少ない。この大胆な戦略によって、存在感をより高めようとホンダは目論んでいるのだろう。 しかし、そんなニッチを狙うアプローチが、広い市場全体において成功といえるだけの成果を上げる保証はどこにもない。それは、オートカーのロードテストにおいても同じことがいえる。 ましてやつい2週間前、ガチンコのライバルであるトヨタ・ヤリスが、同様のやりかたでみごとな成績を示してみせたばかり。落ち度があれば、余計に際立ってしまう。そんな不利を、ホンダの欧州における屋台骨は、なんとしてもはねのけなければならない。