親が亡くなってからでは遅すぎる…40代男性が「親が元気なうちに聞いておけばよかった」と後悔していること
高齢になった親にどう向き合ったらいいのか。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんは「どんなに忙しい毎日を送っていても、親が元気なうちに“親の財産”を把握しておいたほうがいい。最低限チェックしてほしい項目が4つある」という――。 【チェックリスト】これだけは確認すべき4つ (※個人の特定を避けるため、記事中で紹介する事例は一部を変えています) ■「親の財産」は把握しておいたほうがいい 筆者のもとに相談に訪れる方の中には、おおむね40歳を過ぎると目の前の「老いゆく親」を見て、大丈夫なのかと心配される方が増えます。ファイナンシャルプランナーは、税理士や弁護士のように相続の手続きなどに直接携わることはありませんが、将来のお金について話が及ぶと、親の介護や相続への不安を口にされる方が少なくありません。ニュースで報じられるような介護の苦労や、相続をめぐる揉め事を“あたかも自分事のように”感じられているようです。 詳しく話を聞いてみると、当のご本人たちは仕事や家庭のことで忙しない日々を送っており、親のもとを頻繁に訪れることすら難しい方ばかりが多い印象です。たまの帰省をしても大した話ができず、現在の親がどのような状況なのか全く把握できていない……とジレンマを抱えている方は、読者の中にも多いと思います。 子供である自分自身が社会に出て独り立ちすると、親との間にある種の気遣いのような感情がわいてしまい、突っ込んだ話がしにくくなる、ということも一因としてあるようです。しかし、親が元気なうちに把握しておきたいことはたくさんあります。その中でも親の財産状況の把握は、最重要課題です。 直近にふりかかりうる問題としては、親の介護費用です。親自身が捻出できなければ、子供が負担しなければなりません。また万が一、親が亡くなってしまった場合、財産の詳細が把握できていなければ、相続の手続きは全く進みません。これらの問題を後回しにしたツケは、すべて子供に降りかかってきます。ここから先は転ばぬ先の杖として読み進めてください。 ■「実家」の名義が“親ではない”こともある 高齢の親が突然亡くなってしまい、遺された子供たちも資産状況をしっかり把握できておらず、「あたふたして喪に服すどころではなかった」という事例を耳にします。 例えば、実家に何年も戻っていない40代の息子に降りかかった「実家の土地」の問題です。80代の父が亡くなりいろいろと整理していたところ、「実家の庭」の部分が実は「叔父の土地」だったというケースでした。 息子さんも薄々は知っていたようなのですが、ちゃんと父親に確認したり、今後どうしていくのが良いのか話し合ったりすることができていなかったようです。しかもその庭が無ければ、実家は道路に面さないことから、なかなか売れずに困ったそうです。 また、この叔父は90代と高齢で、交渉するのも気が重いという事情でした。せめて父親が生きているうちに状況を把握できていれば、面倒が少なくて済んだのではないかと、親との財産の話を先送りにしてしまったことを後悔していました。 他の事例でも、不動産や金など、子供達の知らない資産を持っていたことが判明し、想定以上に高い税金の支払いのために現金の準備が間に合わなかったり、財産の分割方法などをめぐって争いに巻き込まれて体調を崩したり……といったことは枚挙にいとまがありません。