新鋭家具ブランド〈Hem〉で彩られたテラスハウス|スウェーデン【北欧各国、クリエイターの住まい】
北欧を拠点に活躍するクリエイターは、どんな部屋に暮らしているのか。インテリアデザイナーからブランドのファウンダー、ギャラリストまで、北欧各都市、今をときめくクリエイターたちの部屋を訪ね、ドキュメントしました。 【フォトギャラリーを見る】 今回は、新進気鋭の家具ブランド〈Hem〉を創立したデザイナーのペトゥルスさんの家。丘の斜面に建つ、眺めのいいテラスハウス。部屋をぐるりと見渡せば、ブランドの哲学が見えてきます。 Area:ストックホルム Size:330平米 Type:テラスハウス
ファッションやアートに精通する若い世代からも支持を得ているスウェーデン発の新鋭インテリアブランド〈ヘム〉。その魅力はマックス・ラム、フェイ・トゥーグッド、サビーネ・マルセリスのようなギャラリーでも評価されている先鋭的なアーティストを起用し、カルチャーを反映したものづくりをしているところだ。創業者のペトゥルスさんは長年、家具デザイナーとして活躍。その後〈ヘム〉を設立した理由をこう語る。
「毎年ミラノサローネを訪れても、出展デザイナーとブランドに変化がない。〈ヴィトラ〉のブルレック兄弟、〈フロス〉のコンスタンティン・グルチッチとか。僕らの世代の価値観に訴えかけるようなデザインがないと感じました」 創立当初からECサイトを中心に、販路として米国に焦点を当てており、その戦略が功を奏し現在は売上高の70%を米国市場が占めているという。 「アップルやグーグルのようなテック企業では裕福で新しい感性を持った若者が働いていると思ったからです」
自分が欲しいと思う家具を作り、使う。 ペトゥルスさんが家族と暮らす家は、建築事務所フォシュトベリ・リンがリノベーションしたテラスハウス。部屋には「遊び心」をテーマに選んだ〈ヘム〉の家具が溢れている。心地よくくつろげるというリビングには自慢のフェイ・トゥーグッドの椅子に、マックス・ラムのスツール。
増え続けるアートや民芸品を収めた壁一面の特注棚を覗けば、彼の趣向が窺える。〈ヘム〉の製品が多いのは「自分が使い続けたくなるような家具を届けていきたい」という意識の裏づけだ。 「ルイ・ヴィトンがファレル・ウィリアムスをクリエイティブディレクターにするなど、ファッションは新しいことを柔軟に取り入れ、変化している。僕たちもそれを見習って、常に革新的でありたいと思っています」
photo_Maya Matsuura text_Miki Osako